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ITR Review

コンテンツ番号:
R-219031
発刊日:
2019年3月1日

次世代ネットワーク構築の検討アプローチ(後編)

「次世代ネットワーク・アーキテクチャ」リファレンスモデル

著者名:
甲元 宏明
次世代ネットワーク構築の検討アプローチ(後編)のロゴ画像

自社においてデジタライゼーションや業務変革を推進するには、「企業プラットフォームとしてのネットワーク」という視点で次世代ネットワーク構想を検討することが重要であり、その際はITRが示すネットワーク・アーキテクチャのリファレンスモデルを参考にすべきである。このモデルにより、エンドユーザー/多種多様なデバイスと多種多様な自社システム/クラウドサービスをつなぐ、デジタライゼーションや業務変革を推進するための強力なインフラが実現する。

企業ネットワークの究極形とは

ITR Review 2018年11月号の前編(#R-218114)2019年2月号の中編(#R-219023)において、企業ネットワークの再構築を考える際、デジタライゼーションや業務変革を推進するための「企業プラットフォームとしてのネットワーク」という視点で全体を包括するアーキテクチャを検討し、エンドユーザー/デバイスとシステムをつなぐ、ありとあらゆるネットワーク-具体的にはGAN(Global Area Network)、WAN、MAN(Metropolitan Area Network)、LAN、PAN(Personal Area Network)、BAN(Body Area Network)-を対象とする必要があると述べた。しかし、これまでIT部門の多くはLAN、MAN、WANだけを自らの守備範囲としていたが、このようなスタンスを脱しなければ、エンドユーザーやIoTなどの各種デバイスとシステムをつなぐ重要ネットワーク・インフラを構築することはできないと述べた。

それでは、企業ネットワークの究極形とはどのようなものであろうか。ITシステムを稼働させるサーバやストレージに関しては、現時点の究極形はクラウド・コンピューティングといえる。ITR Insight 2017年秋号「第2段階のクラウド活用戦略の策定」(#I-317102)において、ITRによるクラウド・コンピューティングの定義を示し、企業にとってのメリットを解説した。クラウド・コンピューティングの定義項目は、「オンデマンド・セルフサービス」「多種多様なネットワークおよびデバイスのサポート」「リソースプール」「オートスケール」「サービス利用状況の計測/レポート」「プログラム可能なインフラ」「従量課金」の7項目であった。

ネットワークにおいても、クラウド・コンピューティングの定義と同様のことが実現した場合、どのようなメリットが企業にもたらされるのかを図1に示した。「オンデマンド・セルフサービス」なネットワークは、他社に先駆けた迅速なビジネス展開や革新的ビジネスの展開を可能とする。「多種多様なネットワークおよびデバイスのサポート」は、ありとあらゆるユーザーおよびデバイスへの接続を可能にする。「リソースプール」化されたネットワークは、ネットワーク制御システムの物理的な位置(通信キャリアの基地局など)を意識する必要がなく、ビジネス展開が可能となる。「オートスケール」可能なネットワークは、急激な利用者増に対応でき、機会損失や顧客満足度の低下を防ぐことができる。「サービス利用状況の計測/レポート」および「プログラム可能なインフラ」では、自動運用も可能となり、運用コストの大幅な削減が可能となる。「従量課金」ネットワークは、初期費用が不要になり利用費用の最適化が可能となる。

このように、クラウド・コンピューティングと同等の考え方を適用したネットワークは、企業に計り知れないメリットをもたらす。こうしたネットワークを、ITRでは「クラウド・ネットワーキング」と呼んでいる。

図1.ネットワークの究極形である「クラウド・ネットワーキング」

図1.ネットワークの究極形である「クラウド・ネットワーキング」
出典:ITR

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