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プレスリリース

国内企業の2025年度のIT投資は19年ぶりにIT投資インデックス最高値を更新、
 2026年度はAI活用の加速とともに「守り」への投資意欲が上昇
ITRが『IT投資動向調査2026』の結果を発表

独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:三浦元裕、以下「ITR」)は、2025年8月から9月にかけて国内企業を対象に実施したIT投資動向調査の一部結果を発表いたします。また、調査結果を掲載したレポート『国内IT投資動向調査報告書2026』を本日より販売開始いたします。

 19年ぶりにIT投資インデックスが過去最高値を更新 

国内企業における2025年度(2025年4月~2026年3月)のIT予算額は、前年度比で「増額」と回答した企業が47%となり、過去最高値を記録した2024年度からさらに3ポイント増加しました。2026年度に向けても、増額企業の割合は同水準での推移が見込まれていますが、10%以上の増額を見込む企業の割合はわずかに減少する見通しです。

<参考資料1> IT予算額の増減予想(2024~2026年度予想)

<参考資料1> IT予算額の増減予想(2024~2026年度予想)

このIT予算額の増減を指数化した「IT投資インデックス*1」の2025年度(実績値)は5年連続で上昇し、2006年度の過去最高値(3.88)を19年ぶりに上回る4.10を記録しました。2026年度の予想値は3.90とやや低下する見込みですが、2021年度以降、同インデックスの実績値は毎年、前年調査時の予想値を上回っています。近年、AIの業務適用をはじめとするDXの推進や、クラウドサービス利用料や人件費の上昇が続いており、実際の支出額は策定時予算を上回る傾向にあります。これらの要因から、2026年度においてもIT予算の増額基調は継続すると予想されます。

<参考資料2> IT投資インデックスの推移(2001~2026年度予想)

<参考資料2> IT投資インデックスの推移(2001~2026年度予想)

*1 IT予算の前年度比の増減が「20%以上の増加」を+20、「10%から20%未満の増加」を+15、「10%未満の増加」を+5、「横ばい」を0、「10%未満の減少」を-5、「10%から20%未満の減少」を-15、「20%以上の減少」を-20、として積み上げて回答数で除した値(2016年度以降)。2015年度以前の値は、調査時の設問の選択肢が異なったため、「20%以上の増加」を+20、「20%未満の増加」を+10、「横ばい」を0、「20%未満の減少」を-10、「20%以上の減少」を-20、として同様に算出。

重要となる「攻め」と「守り」両輪への投資

IT戦略として企業が重視する課題は、前回調査から大きく変化し、最重視する課題(1位のみの選択率)のトップは、前回調査で6位だった「システムの性能や信頼性の向上」となりました。前回1位の「デジタル技術によるイノベーションの創出」は、今回2位に後退しました。AIなどデジタル技術の活用が加速する一方で、システム障害やサービス停止が重大なビジネスリスクとして認識されるようになり、システムの堅牢性を重視する傾向が強まっていると考えられます。また、「サイバー攻撃への対策強化」も7位から4位に上昇しており、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃が後を絶たないことから、経営課題としてセキュリティ対策の重要性が一層高まっていることが推察されます。

「デジタル技術によるイノベーションの創出」やその基礎となる「情報やデータの活用度向上」といったDXによる「攻め」のテーマは依然高い重要度を維持しながら、「システムの性能や信頼性の向上」や「サイバー攻撃への対策強化」といった「守り」のテーマに対する課題意識も高まっていることが示されました。

<参考資料3> 2026年度に重視するIT戦略上の課題

<参考資料3> 2026年度に重視するIT戦略上の課題

【重み付け合計ポイント】1~3位の回答に順に3、2、1ポイントの重み付けを行い、各回答件数を乗じた合計値
【1位のみのポイント】1位に選択された回答数に3ポイントの重み付けを行った値
【選択率】1位から3位のいずれかに選択された回答割合

AI関連製品・サービスが新規/追加投資の上位を独占

企業ITに関わる全110項目の製品・サービスを対象に、現在の導入状況と今後の投資計画を調査した結果を基に、2026年度に新規で導入する可能性を「新規導入可能性」、導入済み企業での2026年度の投資額の増減予定を「投資増減指数」として算出しました。

2026年度の新規導入可能性では、「AI/機械学習プラットフォーム」が前年調査の2位から再び1位に返り咲き、2位には今回新たに調査項目に追加した「AI支援開発*2」がランクインしました。前年調査で1位だった「生成AI」は3位に後退しました。一方、2026年度の投資増減指数では、「生成AI」が1位、「AI/機械学習プラットフォーム」が2位と、前年調査と同じ順位を維持し、3位には前年調査の「ローコード/ノーコード開発」がトップ10圏外に後退したのに代わって「AI支援開発」が入りました。このように、2026年度もAI関連製品・サービスへの投資が引き続き上位を占めました。

このほか、新規導入可能性では、4位に「チャットボット/チャットサポート」、7位に「エッジコンピューティング」、投資増減指数では4位に「音声認識」、5位に「運用自動化/AIOps」が入り、トップ10の半数をAI関連製品・サービスが占めています。さらに、新規導入可能性で5位の「VR/AR/MR」は、音声認識や画像認識を搭載したスマートグラスの“AIグラス(AR/MRを表示するディスプレイ機能は必須ではない)”の登場で注目が高まっています。

*2 アプリケーション開発の各作業(企画、設計、実装)をAI支援で実施する手法およびツール。

<参考資料4> 2026年度に新規導入/投資増額が期待される上位10製品・サービス

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クラウド/AIネイティブな「攻め」のDX推進とともに「守り」のためのIT投資計画を

今回の調査結果を受けて、ITRのプリンシパル・アナリストである三浦竜樹は、次のようにコメントしています。

「国内企業のIT投資は、過去最高水準での推移が続いています。特にAI関連への投資は引き続き活発ですが、同時にシステムの安定稼働やサイバー攻撃などのセキュリティ対策の重要性が高まっていることは、注目すべき動きといえます。

IT製品・サービスへの投資意欲に関しては、2026年度も『AI/機械学習プラットフォーム』や『生成AI』をはじめとしたAI関連への投資が上位を占めています。『音声認識』『画像認識』といった特化型AI、『チャットボット/チャットサポート』『エッジコンピューティング』『セールスイネーブルメント』などのAI組み込み型製品・サービス、さらに『AI支援開発』『運用自動化/AIOps』といったAI活用による最適な開発・運用環境への投資も活発化することが見て取れました。一方、『脆弱性診断/レッドチーム演習』などサイバー攻撃対策に向けた追加投資も積極的な姿勢がみられます。

IT部門は、AIと連携する業務データを扱う業務部門や、AIやエッジコンピューティングなど先端技術の研究チームとともに、AIを活用した「攻め」のDX推進と並行して、こうしたIT基盤の可用性を強化するための「守り」の投資計画の策定が求められます。」

調査の概要

本調査は、ITRが2025年8月18日から9月1日にかけて実施したもので、ITRの顧客企業や主催セミナーへの出席者ならびにWeb調査の独自パネルメンバーなどのうち、国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者に対して、Web経由で回答を呼びかけました。その結果、2,214人から有効な回答を得ました。

本調査結果の全結果および分析は、『国内IT投資動向調査報告書2026』としてITRのWebサイトを通じて、本日より販売を開始いたします。レポートの詳細は、以下のWebサイトに掲載しています。

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