独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:三浦 元裕、以下「ITR」)は、国内の予算管理市場の提供形態別市場規模推移および予測を発表します。
予算管理市場の2023年度の売上金額は93億円、前年度比19.4%増となりました。2024年度も同等の同20.4%増が見込まれます。予算管理システム導入による予算編成業務の効率化や経営判断の迅速化などの有用性への認識が着実に広がり、ベンダー各社では新規ユーザーの獲得が好調に推移しています。また、企業では、経営課題として、投資および収益の予実管理を迅速かつ正確に行うことの重要性が一層高まっています。これらのことから、中長期的な成長が見込まれ、CAGR(2023~2028年度)は19.3%を予測しています。
同市場をパッケージとSaaSの提供形態別で比較すると、2023年度のパッケージ市場は前年度比2.6%増と緩やかな伸びにとどまった一方で、SaaS市場は同26.6%増の高い伸びを記録しました。主要ベンダーがSaaSでの提供に注力していることから、SaaS市場は今後も好調に拡大し、2028年度には市場全体の約9割を占めるとみています。CAGR(2023~2028年度)では、パッケージ市場がマイナス0.8%に対し、SaaS市場は24.0%を予測しています。
※本調査において、予算管理は、予算管理業務を支援する製品・サービスであり、予算案などのデータを収集し、予実管理表や予算プランニングを作成する機能などを備えています。また、各種分析機能やレポーティング機能なども含んでいます。

ITRのプリンシパル・アナリストである浅利 浩一は、「約10年前の2014年度は8億円程度の市場規模に過ぎなかった予算管理市場は、2024年度には100億円を超える見込みです。アプリケーション分野において、このような成長を遂げている市場は少なく、この勢いは今後も続くと予測されます。現在、同市場において最も成長率が高いセグメントは、年商100億円未満の中小企業向け市場であり、これは比較的低価格で導入しやすく、利用者の増減に容易に対応できるSaaSの利用が拡大してきたことが要因となっています。企業にとって、予算精度および予測精度の向上は、将来の財務状況をより的確に把握するだけでなく、経営リスクを軽減するためにも重要であり、業種を問わずさらに強化が図られていくでしょう。また、予算策定から実績の着地に至る一連のプロセスにおいて自動化を推進することにより、人的ミスの削減に加えて、予算管理に関わる多くの従業員の負担を減少することが可能となります。さらに、予実分析やレポーティングの高度化によって、迅速かつ的確な経営の意思決定支援ができるようになるでしょう。今後、こうした広範な予算管理業務において生成AIやAIエージェントの機能が強化され、市場の成長を牽引するでしょう」とコメントしています。
調査概要
今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート『ITR Market View:予算・経費・サブスクリプション管理市場2025』に詳細を掲載しています。同レポートには、連結会計、経費精算、予算管理、IBP(Integrated Business Planning)、サブスクリプション管理、サステナビリティ情報管理ツールの全6分野を対象に、国内56ベンダーへの調査に基づいた2022~2023年度売上げ実績および2028年度までの売上げ予測を掲載しています。