データ・マネタイゼーションは、デジタルビジネスを創出する際に最も期待されるビジネス手法のひとつである。本稿では、データを活用したビジネス開発を進める際の一助として、データ種別と収益化モデルに着目したビジネスモデルの類型を示す。
期待されるデータ・マネタイゼーション
インターネットが本格的に普及した2000年代より、世の中を流通するデジタルデータは指数関数的に増大している。2010年代のスマートフォンやクラウド・コンピューティングの市場浸透、また、その後半のIoTやエッジ・コンピューティングの普及によって、さらにその勢いは増している。現代は、まさにデータ爆発のさなかにあり、有り余る膨大なデータをいかに企業活動や経済社会に活かしていくかが問われているといえよう。
加えて、昨今では多くの企業がDXを推進しており、デジタル技術やデータを駆使したビジネス変革へ向けた取り組みへの関心度が高い。特に、新商品や提供形態の変革による新ビジネスの創出(プロダクトイノベーション)は、今後の進展が期待されている(ITR Insight 2022年夏号『デジタルビジネス開発の方法論』#I-322071)。
一方で、データによる新ビジネスの創出は、難易度が高く、これまでも数多くの企業が取り組んできたが、成功ケースはごく一部に限られる。これにはさまざまな原因が考えられるが、データや情報は物理的に存在するものではないため、価値の有無を認識しづらい、また認識できてもその便益性や経済価値を測りにくいといった、根本的な要因もあろう。
こうしたことから、データ・マネタイゼーションを検討・企画するうえでは、どのようなデータがいかに収益化されているかについて実際の産業界の現状を把握することが有益である。本稿では、世の中の収益化モデルを類型化し、データ/情報の種別ごとに概観することで、データによるビジネスモデルを考察する。