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ITR Review

コンテンツ番号:
R-222023
発刊日:
2022年2月1日

デジタルスタートアップの要点

グロースハックによる成長戦略の道筋

著者名:
金谷 敏尊
デジタルスタートアップの要点のロゴ画像

企業内外でのデジタルスタートアップが増加する一方、VUCA時代の今日において、それらを事業化してビジネスを軌道に乗せるのは容易なことではない。スタートアップ組織は、初期リリース以降のグロースハックを想定した成長戦略を描くことが求められる。

デジタルスタートアップの課題

企業においてDXの取り組みが加速するなか、デジタル技術を活用した新たな製品やサービスの展開を企画する例が増加している。これには、一定の予算と組織を割り当てた大型投資を伴う従前のビジネス開発手法を採るケースも多いが、VUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)と呼ばれる未来予測が困難な現代は、迅速な立ち上げと柔軟な方針変更を前提とするリーンスタートアップ型のビジネス開発を行うことが重要である。しかし、リーンスタートアップは、多くの国内企業、とりわけ伝統的ビジネスを手掛ける企業や、官僚的なカルチャーが支配的な組織においてはなじみの薄い取り組みである。そのため、どのように事業化を検討し、立ち上げ、軌道に乗せるべきかといったステップが不明瞭であり、計画にその思想が十分に反映されないことも多い。

この課題を解決するには、いくつかの観点を持つことが求められる。特に全社的なDX戦略を構想化し、企業としての推進体制を確立することが有益な検討事項のひとつとなる。例えば、経営企画、人事、ITなどの部門が、リーンスタートアップを促進するための制度改革や人材育成、またアジャイル開発プロセスやクラウドネイティブ開発といった技術標準化を進めることで、社内でのイノベーション創出の機運を高め、ビジネス開発スピードの向上が期待できるようになる。

一方で、デジタルスタートアップを推進するプロジェクトオーナーにおいても、適切な事業化へ向けたさまざまな課題解決が求められる。リーンスタートアップが重要な方法論であることは理解しているが、実際にどのようにMVP(最小構成の実製品)を開発すべきか、また、リリース後にどのようなマーケティングファネルを想定し、顧客化へのパイプラインを描くべきか、といった点が不明瞭なケースが少なくない。これらはプロジェクトの成功要因でもあることから、事業化の準備段階において、成長戦略の明確な道筋を描いたうえで十分な検討を行っておきたい。

その際、特にデジタル技術を活用した製品やサービスの事業化にあたって課題解決のヒントとなるのは、すでにITやWeb、インターネットの世界で実現している事業化や、マーケティングに関わるさまざまな知見やノウハウである。デジタルイノベーションとは、見方を変えれば、アナログの世界にデジタルを融合させる取り組みでもある(ITR Insight 2019年冬号『デジタル時代におけるビジネス革新の成功要因』#I-319013)。Webビジネスの先行事例に倣ったり、IT業界の流儀を意識的に取り込んだりすることが推奨される。

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