クデジタル技術がもたらす事業機会とは何か
イノベーションを取り巻く環境とはどのようなものか
国内企業におけるビジネス革新の成功要因は何か
IoT、AI、ロボティクスなどの革新的技術は従来型のビジネスモデルや市場構図を一新させる可能性を秘めている。しかし、市場や技術は未成熟であり、イノベーション推進の壁も厚い。こうした環境の下、国内企業はどのようにビジネス革新を進めていくべきか、その成功要因を探る。
構成
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新興産業の現状
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イノベーションの実態
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ビジネス革新の推進アプローチ
デジタル時代の新興産業
あIoTはもとよりAI、ロボット、AR/VR、ビッグデータ分析などのデジタル技術が普及するなか、それらを駆使した近未来のビジネス・コンセプトが数多く生み出されている。都市開発や公共施設におけるスマートシティ、工場や生産設備におけるスマートファクトリーの例をあげるまでもなく、多くの産業が「スマート」を軸に再編されつつある。この傾向は特定分野に限ったものでなく、あらゆる産業に見出される点に留意しなければならない。さまざまな産業界でディスラプターが台頭し、伝統的なビジネスモデルが新興産業にとって代わられるのは必至であろう。そして、その影響をまったく受けない企業は皆無といってよいだろう。
このようなデジタライゼーションの潮流を踏まえ、企業は競争優位の確保へ向けて、自らのビジネスを変革していかなければならない。ここでいう変革とは、単に「センサーをつけて機器をモニタリングする」「分析結果をフィードバックして顧客満足度を高める」といったレベルの変化にとどまらない。デジタル技術が浸透した10年後、20年後のスマート社会においても、引き続き競争優位を発揮しうるようなビジネス革新(ビジネスイノベーション)を興すことを意味する。いうまでもなく、ビジネス革新は容易な取り組みではないし、新興産業の未来は予測し難く、市場性も未知数である。それだけに、将来の競争優位を確立しようと思えば、しかるべき戦略性をもってイノベーションに挑まねばならない。そこで本稿では、まず新興産業の現状と国内企業の実態を踏まえて、デジタル時代に求められるイノベーションの考え方を整理する。そのうえで、企業におけるビジネス革新の成功要因の導出を試みる。