マイクロサービスに取り組む国内企業が増えている。現時点では、小規模な新規アプリケーションに対してマイクロサービスを採用する企業がほとんどであるが、今後大規模な基幹系アプリケーションへのマイクロサービス適用が拡大すると考えられる。サービスメッシュは、マルチクラウド環境下で、コンテナやサーバレスなどの多種多様なテクノロジ/サービスを利用してマイクロサービスを実現する企業にとって必須のテクノロジとなることから、速やかに理解と検証を進めるべきである。
マイクロサービスに前向きな大企業
マイクロサービス・アーキテクチャを採用する国内企業が増えている。図1に年間売上金額が300億円以上の国内企業1,268社に対し、マイクロサービスの活用状況を尋ねた結果を示す。すでにマイクロサービスを活用している企業(「全社的に活用している(16%)」と「一部で活用している(18%)」の合計)は約3分の1を占め、この新しいITアーキテクチャに大企業が積極的に挑戦していることがわかる。
ITR「企業におけるITインフラ活用動向調査」(2020年11月調査)
ITR Insight 2016年冬号「マイクロサービスの価値と活用指針」(#I-316012)において、マイクロサービスの概要を解説した。同レポートで、マイクロサービスとは「適度な粒度で構成されるサービス群とサービス間連携にAPIを利用」するアーキテクチャであると述べた。このアーキテクチャを採用することにより、大規模システム全体の再構築が不要になり、サービス内機能の追加/修正や、新しいサービスをシステムに追加することも容易になる。また、サービスごとに異なった開発言語を採用することも可能であるため、システム全体の「標準化」や「ルール統一」が不要となる。サービスごとに災害/障害対策やスケーラビリティを確保することも可能となる。DevOpsツールやCI/CDツールを利用することにより、サービスごとのデプロイや、無停止での機能追加/修正も可能となる。
これらのことから、これまで巨大な単一構成のシステムである「モノリシック・システム」を運用する企業が直面しているさまざまな課題を解決するために、マイクロサービスに取り組む企業が増えている。