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ITR Insight

コンテンツ番号:
I-316012
発刊日:
2016年1月1日

マイクロサービスの価値と活用指針

著者名:
甲元 宏明
マイクロサービスの価値と活用指針のロゴ画像
現代の企業システムの問題は何か
マイクロサービスとは何か
マイクロサービスの利点と懸念点はどのようなものか

ビジネスを推進する企業システムの構築には、アプリケーション・アーキテクチャの変革が必須となる。これまでの企業システムは膨大な数のプログラムが複雑に組み合わされた「モノリシック」システムが中心であったが、ビジネススピードやアジリティの向上を支援するためには、「マイクロサービス」アーキテクチャを段階的に採用する必要がある。

モノリシック・システムとは

モノリシック・システムとは

一般的な企業システムの構造を図に示した。全ての機能が1つのシステム内に実装されている構造をもっている。ここではSCMを例示しているが、会計システム、人事システム、ECサイトなどどのような企業システムでも、似たような構造になっていることがほとんどである。このようなシステムをモノリシック(一枚岩)・システムと呼ぶ。1つのシステムの中で全機能を実装するため、システム開発は容易で、全体構造も理解しやく、同システムの展開も容易である。しかし、システムの寿命がくるとシステム全体で再構築しなければならず、わずかな機能変更のためにシステム全体への影響を注意深く調査しなければならない。システムライフサイクルが短縮化し、システムのアジリティ(俊敏性)が重視される時代にあっては、モノリシック・システムの問題が目立つようになってきた。

モノリシック・システムを開発する際に、設計者や開発者を分業化し開発生産性や保守性を高める「3層構造」が20年程前から一般的となり、現在でもその信奉者は多い。しかし、「プレゼンテーション層」「ビジネスロジック層」「データベース層」の3レイヤーに分離するこの試みは成功したとはいえない。それは、これらの層を分離しても独立して動作することはないためで、層分離がシステム全体再構築を回避できず、システム・アジリティにも寄与しないことがわかったためである。また、プレゼンテーション層担当者はビジネスロジックやデータベース構造を知らないまたは興味がない、システムがビジネスにどう寄与しているのか理解できないといった開発者を増やすこととなった。3層構造は、モノリシック・システムを実現するための手法のひとつにすぎない。

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