緊急事態宣言は解除されたが第2波などの懸念もあり、経済活動の再開においては新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との共存を前提とした新しい日常への移行が求められている。ウィズコロナと呼ばれるこれからの半年から1年で企業が推進すべきDX施策について考察する。
ウィズコロナ期にDXを加速させる
ITR Review 2020年6月号「アフターコロナにおけるDX」(#R-220061)では、COVID-19終息後のアフターコロナと呼ばれる時にあっても、アフターデジタルの世界観を見据えてDXを着実に進めることが重要であると述べた。むしろ、社会のデジタル化が加速するなか、企業はより一層デジタル化に舵を切り、企業としてのニューノーマルを構築していかなければならない。さて、ITRでは新型コロナウイルスの感染拡大が、企業のIT戦略にどのような影響をもたらすかについて2020年4月24日から27日にかけて調査を行い、1,370人から有効な回答を得た(ITR リサーチペーパー「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」2020年5月発行、#C-20050131)。
政府の4月7日の緊急事態宣言発令に伴う経済活動の自粛による、自社のIT戦略の遂行(デジタル化の進展)への影響について、企業のIT戦略は「大いに加速すると思う」が27%、「やや加速すると思う」が44%となり、合計で71%が加速する要因になると回答した。これは、世界規模のパンデミックが企業に及ぼした影響が非常に大きく、企業活動のさまざまな分野で業務の停滞やビジネス上の問題を引き起こしたことに対して、ITやデジタル技術の活用を進展させることで、何らかの問題解決やリスク回避のための施策を実行することが期待されているためと考えられる。すなわち、新型コロナウイルスによって企業活動におけるITの重要性があらためて確認されたといえる。