1. TOP
  2. レポート・ライブラリ
  3. デジタル時代の競争優位戦略 - 転換期に求められる競争優位性とは -


ITR Review

コンテンツ番号:
R-219091
発刊日:
2019年9月1日

デジタル時代の競争優位戦略

転換期に求められる競争優位性とは

著者名:
金谷 敏尊
デジタル時代の競争優位戦略のロゴ画像

デジタルシフトを進める企業が最も重視すべきことのひとつは、コアビジネスの競争優位性の再定義である。デジタル時代における自社のアドバンテージが何であるかを問われ、直ちに明確な返答をできないとすれば、いかに多くの経営リソースをデジタル技術やビジネス創生につぎ込もうとも成果を得るのは難しいだろう。

デジタルシフトの本質

市場のパラダイムを塗り替えるイノベーションが出現したり、市場影響力の強いテクノロジが急速に浸透したりといった「転換期」においては、その本質を見極めて戦略シフトを進めることが重要である。競合他社が導入したという理由だけで技術導入を進めた企業に悲惨な末路が待ち受けていたといった例は、枚挙にいとまがない。転換期においては、未来を形づくる変数のブレが大きく、先々の見通しが立ちにくいのは事実である。しかし、本質が何であるかを捉える努力を怠れば、いかに綿密に計画を立てようとも、その戦略はいともたやすく画餅に帰し、手段が目的化するといった不具合が生じるであろう。

本格的なデジタル時代の到来を見据えて、市場ではかつてないさまざまな環境変化が起きている。IoTはもとよりAI、ロボット、AR/VR、ビッグデータ分析などの革新的テクノロジを駆使した近未来のビジネスが数多く台頭している。これらのビジネス機会は、従来型のビジネスモデルや市場構図を一新させる可能性を秘めている(ITR Review 2018年6月号「スマートテクノロジがもたらすビジネス機会」#R-218065)。また、ビジネス革新へ向けた推進プロセスも時流の変化と無縁ではない。デジタルイノベーションで成果を出すために、多くの企業ではリーンスタートアップや技術プロバイダーとの共創を見据えた新たな環境づくりが求められている(ITR Insight 2019年冬号「デジタル時代におけるビジネス革新の成功要因」#I-319013)。

こうした内的、外的な環境変化を見て、それを自社の組織やビジネスに反映しようとする企業は数多い。アジャイル開発環境を整備して、スマートリテールのシステム構築を手掛けようとする小売業者、製造設備にセンサーを取り付けてIoTシステムで生産効率の可視化を狙うメーカーなどさまざまである。これらの活動は、長い目で見て一定の成果を得られるかも知れないし、決して無益なものとはいえない。しかし、これら全ての活動がデジタルシフトの本質的な目的に沿ったものであるかどうかは、疑問が残る。ビジネスやテクノロジが転換するこの時期において、デジタルシフトの本質とは何か、ビジネス戦略の基礎に立ち返って考えてみたい。

ITR 著作物の引用について

ITRでは著作物の利用に関してガイドラインを設けています。 ITRの著作物を「社外利用」される場合は、一部のコンテンツを除き、事前にITRの利用許諾が必要となります。 コンテンツごとに利用条件や出典の記載方法が異なりますので、詳細および申請については『ITR著作物の引用ポリシー』をご確認ください。

TOP