LINEやFacebook Messengerなどのチャットサービスは、世界で最も利用されるコミュニケーション手段のひとつとなった。チャットサービスは顧客とのコミュニケーションとして活用する企業が増加しており、カスタマーサポートチャネルとして重視されつつある。
カスタマーチャネルとして台頭するチャット
LINEなどのチャットサービスを業務で利用する企業が増えている。特に、企業が公式アカウントを取得し、顧客・見込客とのコミュニケーション・チャネルとして活用することは一般化してきている。加えて、チャットサービスを企業のWebサイトやECサイトにおける接客やサポート業務の手段として利用する企業も急速に増加している。ITRが2017年4月に実施した調査では、カスタマーサポートにおいて、チャットツールをWebサイトですでに利用している企業は約半数に達しており、今後は約66%に増加すると予測している(ITR Review 2017年9月号「カスタマーサポート関連ツール調査2017」#R-21709U)。
WebサイトやECサイトにおいて、チャット機能を利用し顧客対応するシステムやサービスを「Web接客」や「ライブチャットサポート」と呼ぶことが多い。また、詳細は後述するが、どちらのサービスもボットと呼ばれるプログラムを利用し、チャットを自動化する機能を有していることから「チャットボット」と呼ぶこともある。基本的な仕組みとしては、サイトを閲覧中にページの右下にチャットウィンドウがポップアップで表示され、来訪者がサイト上で探している情報や操作方法で困っていることがないかなどをサポート担当者あるいはプログラムが尋ねるようになっている。Web接客/ライブチャットサポートツールによる対応例を、顧客の消費行動(カスタマージャーニー)に沿って整理すると図1のようになる。
消費行動は、認知から購入までと、受け取りから離脱まで大きく2つに分けられる。前者は商品やサービスの認知、他社や従来製品などとの比較検討、購入に至るまでの営業や接客業務が含まれる。後者は配送や商品の受け取り、利用段階に入ってからの活用方法や故障対応などのサポート業務が含まれ、商品やサービスに満足できなかった場合は他社の商品/サービスへの移行などによる離脱があり、このサポート業務も含まれる。例えば、携帯電話サービスや月額サービスにおいて、解約方法のWebサイトでの案内や、その過程での引き留めのための施策がこれに該当する。
カスタマージャーニーにおける認知、比較検討、購入までの業務を主な対象範囲としているのが、Web接客である。ページに訪れた新規ユーザーに、会員登録による特典を案内したり、ECサイトなどで探し物を能動的に尋ねたりすることが想定される。商品やサービス購入後のアフターサポートを中心とした業務での活用がライブチャットサポートツールとなる。ECサイトで購入に時間がかかっているユーザーに、支払いプロセスで不明な点があるかを問いかけたり、サポートページのFAQを参照しているユーザーに、具体的な症状を尋ねたりすることなどが考えられる。
出典:ITR