デジタルイノベーションやビジネスITでは、全方面でスピードが求められるようになっていく。また、新たなSoE(Systems of Engagement)への取り組みでは、重厚長大なプランニングではなく、ビジネスとITの同期性を高めつつ、企業の社会的責任を損なわないような枠組みに沿ったシステム開発が重要となる。難問ではあるが、企業は、安易な楽観主義に陥らずに理想を追求すべきである。
デジタル化時代の企業に求められるのは、スピードであり、試行やPoC(Proof of Concept)の短サイクル化であり、市場環境への適応性強化であろう。激変する市場環境にあっては、既存ビジネスモデルの延長線上の改善だけでなく、新たなビジネスモデルを模索しながら事業の裾野やポートフォリオを拡大していかねばならない。こうした環境下で実装を進めていくビジネスITそのものも、実装と検証を繰り返しながら有効性と完成度を高めていく必要がある。ただし、こうした取り組みにおけるプロジェクトやITのマネジメントを疎かにしてよいということではない。いくらスピードや短サイクルの実装を重視するからといって、全体の整合性や合目的性を無視したシステムや、無秩序なテクノロジ/ツールの選択を繰り返すのは避けるべきであろう。また、ビジネスITの実装においても、セキュリティ、コンプライアンス、事業継続性など、企業が果たすべき社会的責任を全うすべきことはいうまでもない。