グローバルERPベンダーが、各社それぞれの特色を活かしながらクラウドへのシフトを急速に進めていることは周知のとおりである。とはいえ、海外のユーザー企業が自社のERPコア機能を一気にクラウドに移行する状況にはなく、ERPとERP周辺機能のハイブリッド化に備えるべきと、ITRでは分析していた(ITR Review 2015年10月号「ハイブリッド化するERPへの備え」 #R-215104)。しかし、その分析を修正しなければならないタイミングが想定より早く到来したかもしれない。長年の投資で成熟したオンプレミス環境の刷新に依然として慎重な企業がある一方で、積極的にクラウドERPを選択する企業の生の声を、2015年10月25日から29日までサンフランシスコで開催されたOracle Open World 2015(OOW2015)で確認することができたからである。
OOW2015で、Oracle社会長兼CTOのLarry Ellison氏は、イベント初日のキーノート講演で、同社の競合がSAP社、IBM社からAmazon Web Services社、Salesforce.com社などに変わっていることを改めて強調した。そして、ERPクラウドが1,300社の企業に導入され、すでに60ヵ国300社で稼働していることを明らかにした。また、先行したHCMクラウドとCRMクラウドについては、すでにそれぞれ5,000社に導入されたことを踏まえ、SaaS/パブリッククラウドのビジネスへの展望を強調した。さらに、Oracle社CEOのMark Hurd氏は翌10月26日の自身のキーノート講演で、予測であるとしながらも以下のように述べた。