国内企業のIoTへの取り組み状況はどうなっているのか
IoTを構成するテクノロジ/製品/サービスの動向はどのようなものか
IoTを利用したイノベーション創成のアプローチとは
2014年以降急激にIoTに対する注目度が上がっている。今後さらに実ビジネスへのIoT適用が加速すると予想される。どの企業にでもIoTを利用したビジネス・イノベーションが可能であり、それにいち早く取り組んだ企業が大きな成功を獲得する可能性が高い。本稿では、IoTに対する国内企業の取り組み状況およびIoTを構成するテクノロジ/製品/サービスの動向を解説し、IoTを利用したイノベーション創成のためのアプローチについて解説する。
構成
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国内企業のIoT取り組み状況
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IoTを構成するテクノロジの動向
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IoTを利用したイノベーション創生
- 結論
国内企業のIoT取り組み状況(全体、ビジネス状況別)
出典:ITR(2015年6月調査)
ITRは、ITR Insight 2014年冬号「Internet of Things(IoT)の最新動向とビジネス価値」(#I-314011)において、初めてIoT(Internet of Things)の動向とビジネス価値について解説を行った。本項では、このレポート以降のIoTを取り巻く状況を紹介し、IoTを利用したイノベーション創成手法について述べることとする。
なお、国内企業のIoTへの取り組み状況を上図に示した。IoTを「導入しており、今後も拡張する」「導入しているが、効果がないため今後は拡張しない」を併せた、現在IoTを活用していると回答した企業は約4分の1であり、2014年から大きく変化していないことが確認できた。一方、「導入していないが、1年以内の導入を考えている」とする企業は2014年の14%から17%と増えていることがわかった。
同調査では、現在IoTを活用している企業に対し実ビジネスに適用しているのかどうかをたずねているが、約半数の企業がIoTの評価や検証ではなく実ビジネスにおいてIoTを活用していることがわかった。IoTという単語がメディアによく取り上げられるようになったのは2013年前後であるが、M2M(IoTの一部)が1990年代後半より使われていることが、実ビジネス適用率が高い理由であると考えられる。
下図は、IoTの導入状況を、回答企業のビジネス状況別に見たものである。ビジネス状況が好調な企業ほど、IoTを積極的に導入していることがわかる。IoT導入予定のない企業の割合は「非常に好調」な企業は9%に過ぎないのに比較して、「非常に不調」な企業は71%も存在する。ビジネスが好調な企業は、先進ITを駆使してさらにビジネスを成長させようとしていることがこのデータから見て取れる。