アジャイル開発とはどのような手法なのか
アジャイル開発の概要と価値は何か
IT部門がアジャイル開発を成功させるアプローチとは
アジャイル開発プロセスは、海外では標準的なシステム開発プロセス(企画、設計、実装、テスト、運用)となった。国内でも企業IT以外の分野では昔から常識的手法である。数多くの成功実績のあるアジャイル開発プロセスは、ビジネスに対する価値も高く、開発関係者のモチベーションを向上させる強力な手法である。本稿では、アジャイル開発プロセスの概要を解説し、国内企業で採用し成功するためのアプローチについて述べる。
構成
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アジャイル開発とは何か
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「アジャイル開発プロセス」とは
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アジャイル開発の成功アプローチ
- 結論
アジャイル開発とは何か
「アジャイル開発」という単語を国内でよく目にするようになったのは、2000年代前半と思われる。従来型のシステム開発プロセスにおいてスケジュール遅延やコスト超過が珍しくなく、ビジネスに貢献しないユーザー満足度の低いシステムが散見されていた。「アジャイル開発」という聞き慣れない名前は、その思想やアプローチの斬新さゆえに一定数の信者を生みだしたが、現時点においても、まだマイナーな存在に甘んじていることは否めない事実である。
しかし、最近状況に変化の兆しが表れている。まず第1に、DevOpsに対する注目度の高まりだ。開発、運用、品質保証の部門間のコラボレーションにより企業ITのビジネス価値を高めるこの手法の実現にアジャイル開発が必須というわけではないが、従来のウォーターフォール型開発の考え方のままではうまくいく可能性は小さい(ITR Review 2014年4月号「DevOpsとは何か」#R-214045)。
また、国内においても、ソーシャルアプリ、ゲーム、Web系、組み込み系などの非エンタープライズ系システムの分野では10年以上前からアジャイル開発が当たり前になっている。
最近になって、アジャイル開発プロセスを採用したユニークなビジネスモデルで国内ユーザー企業のシステム開発を担当するSIベンダーも登場しており、顧客満足度も高いといわれている。
アジャイル開発プロセスでは、システムを構築しながらブラッシュアップを繰り返していく手法を採る。ITインフラを数時間で調達でき、ITリソースを動的に拡大縮小できるパブリッククラウドは、アジャイル開発の障壁を下げるのに役立っている。このような環境の変化に伴い、アジャイル開発が再注目されている。