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ITR Review

コンテンツ番号:
R-225052
発刊日:
2025年5月2日

ERP第三者保守の将来性

デファクト化するクラウドERPの影響

著者名:
浅利 浩一
ERP第三者保守の将来性のロゴ画像

国内企業においてERPの第三者保守が検討されるようになって、約12年が経過する。一方、新規で導入されるERPはクラウドがデファクト化しており、第三者保守が直接の対象とするオンプレミスのERPの導入は中長期的に大きく減少するとみられる。本稿では、保守コストの抑制やサポートの延長を目的とするERPの第三者保守の動向、およびその将来性と留意点について述べる。

第三者保守の概況

第三者保守とは、ベンダーではないサードパーティ(第三者)が独自に当該製品の保守を提供するサービスである。ITシステムのハードウェアにおいてその歴史は古く、1980年代のメインフレーム時代から、製造元(OEM:Original Equipment Manufacturer)以外の独立した専門企業がハードウェアの保守サポートを延長することによって、老朽化したIT資産の継続利用を可能にする選択肢であった。しかし、「第三者保守」という用語が今日のように市場に浸透したのは、2013年頃に主に海外製ERPを対象に第三者保守を手掛ける事業者(Rimini Street社など)が出現して以降のことである(ITR Review『ERPの第三者保守を検討すべきか』R-213102)。

当初は、ミッションクリティカルなエンタープライズシステムのサポートをOEM以外の第三者に委託することには、当然ながら大きなリスクが伴うという認識が強かった。また、機械としてのハードウェアではなく、知的財産であるソフトウェアの保守を第三者が行うことの是非に関する懸念も強かった。実際、海外ではOEMであるベンダーのWebサイトからソフトウェア、修正プログラムのパッチ、サポート文書などを違法に大量ダウンロードし、著作権を侵害したとして訴訟を提起された第三者保守事業者もあり、巨額の損害賠償責任を負った結果、事業閉鎖に追い込まれた例もあった。しかしながら、大手国内企業がSAP社のERPでこのモデルを導入した先行事例などを通じて、第三者保守に対する潜在的なリスク認識が低減されるようになり、今日に至っている。ERPの第三者保守においては、Rimini Street社の他にSpinnaker Support社も主要ベンダーとして知られているが、日本国内で実績が確認でき、かつ初期段階から継続してビジネスを展開しているのは、実質的にRimini Street社のみである。

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