第三者保守は、ハードウェア分野ではメインフレーム全盛時代から確立しているビジネスである。2005年頃から、米国でパッケージ・アプリケーションの第三者保守を専門とするプロバイダーが登場し、2013年から日本国内でもビジネスを開始している。企業が、第三者保守を検討するにあたり、サービス内容の概要と長所および短所について述べる。
パッケージ・アプリケーションの第三者保守が登場した背景
国内企業から、第三者保守に対する問い合わせやブリーフィングの依頼を受け始めている。パッケージ・アプリケーションにおける第三者保守は、Rimini Street社、Tomorrow Now社、Spinnaker Support社といった、いわゆるThird-Party Maintenanceのプロバイダーが、2005年頃から米国で登場したことに源流があり、米国を中心に、パッケージ・ベンダーの保守料およびサービス内容に対するユーザーの不満が高まっていることが背景としてある。一方、米国に限らず、パッケージ・ベンダーの保守に対する不満の声はあるものの、例えば英国では第三者保守よりもパッケージ製品のダウングレード(大企業向け製品から中堅中小企業向けのSage社製品、UNIT4社製品にリプレースしTCOを下げるなど)の動きが英国運輸省など公的機関をはじめとして目立ってきており、やや異なった様相を呈している。
米国で2005年頃に第三者保守が登場した当初は、基本的には企業自らが保守を担い、自社の要員でパッケージの保守を行うものの、繁忙期に外部サポートを依頼するといった、比較的小規模なビジネスであったと見られる。そのような段階から、第三者保守のプロバイダーが一気に表舞台に登場してきた最も大きな要因は、リーマンショックによる不況であるといわれている。当時の先行きが見えない経済状況に際して、企業は可能な限りのコスト削減を図り、その一環としてクローズアップされたのが、画一的で選択肢のないパッケージ・ベンダーの保守サービスおよび保守料の問題であった。つまり、インシデント対応やパッチ適用などの保守と、アップグレードが一体化して切り離すことができず、両者を一本化した保守サービスしか選択できないことに起因する。このようなことから、2008年から2009年にかけて、第三者保守を導入する北米企業は、2倍から3倍に増えたといわれる。