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ITR Review

コンテンツ番号:
R-224033
発刊日:
2024年3月7日

生成AIが加速するデータ分析の自動化

ビジネスユーザーとシチズン・データサイエンティストが得るメリット

著者名:
平井 明夫
生成AIが加速するデータ分析の自動化のロゴ画像

機械学習などのAI技術を使ったデータ分析の自動化(拡張分析とも呼ばれる)は、ビジネスユーザーのスキル不足を補完し、シチズン・データサイエンティストの育成に寄与してきたが、ここにきて新技術である生成AIを活用することでその効果を増大させている。本稿では、データ分析の自動化における生成AIの活用局面を解説するとともに、ビジネスユーザーとシチズン・データサイエンティストが得るメリットついて考察する。

生成AIによるセルフサービスBIの進化

セルフサービスBIは、「データ分析の専門家ではない一般のビジネスユーザーが、IT部門の支援を受けることなく、非定型なデータの分析を行うことのできる環境」(ITR Review 2018年4月号『セルフサービスBIの特徴と導入における課題』R-218043)として、それまでの定型レポート中心のデータ分析を高度化し、企業のデータ分析環境として定着している。しかし、利用者であるビジネスユーザーのスキルが不足しているため、その利用範囲は一部のパワーユーザーにとどまり全社展開に至った企業は少ない。

ビジネスユーザーのスキルを補完するために、機械学習を活用した自動化が進められてきたが、その適用範囲は、分析結果の可視化や傾向の読み取りの自動化といったセルフサービスBIの作業工程の一部をカバーするにとどまることから(ITR Review 2022年1月号『実用化が進むデータの拡張分析』R-222014)、効果は限定的であった。

しかし、ここにきて新技術である生成AIを活用することで、全ての作業工程での自動化が行われ、かつ、プロンプト方式(自然言語による対話形式)で操作できるようになった(図1)。

図1.生成AIを活用したセルフサービスBIの作業工程

図1.生成AIを活用したセルフサービスBIの作業工程
出典:ITR

最初の作業工程である「データの抽出・加工」においては、計算列の追加、テーブル間の結合、テーブルの作成といったSQLなどの言語知識と必要となる作業が、例えば「単価を追加」と指示するだけで、単価を計算し新たな列を追加するSQL文が自動的に生成されるようになる。「データの可視化、傾向の読み取り」においては、機械学習である程度の自動化は行われてきたが、例えば、「売上げの傾向は」という抽象的な質問に対しても、売上増減傾向の変化がわかるグラフを表示し、特徴点の指摘(ハイライトと注釈)までを行うなどのより高度な自動化が実現する。最後の「レポート作成」の工程においても、レポートを構成する複数の表やグラフの選択と配置を対話形式で行うことができ、自然言語による解説文が自動生成される。

かつてマウスを使ったドラッグ&ドロップによる直感的な操作は、BIのユーザーを拡大したが、現在に至ってもBIツールを使いこなすユーザーが限定的であることから、生成AIが可能にしたプロンプト方式によるデータ分析が、どこまでビジネスユーザーに浸透するかは未知数といえる。しかし、データドリブン経営を目指す企業においてセルフサービスBIの全社展開は必須であり、ビジネスユーザーに要求されるスキルレベルが大きく低減されるこの機会を逃してはならない。

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