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プレスリリース

ITRが2026年に注目すべき11のIT戦略テーマ
「ITR注目トレンド2026」を公開

独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:三浦 元裕、以下「ITR」)は、2026年に企業が注目すべき11のIT戦略テーマ「ITR注目トレンド2026」を発表します。

図.2026年に注目すべきIT戦略テーマ
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出典:ITR「ITR注目トレンド2026」

ITRでは、「AIによる競争力創出」「ITマネジメントの高度化」「人材・知識の戦略的活用」の3つの視点から、2026年以降に企業が注目すべきIT戦略テーマを提示しています。リサーチ統括ディレクターの金谷敏尊は、「企業は、価値創造、マネジメント、人材・知識の各側面においてAIを前提とした経営モデルへの変革を進める必要があります。AIはもはや業務効率化の手段にとどまらず、競争優位を左右する経営基盤として位置づけるべき時期に差し掛かってきています」と述べています。

これらの11の戦略テーマに関する解説と予測を掲載した「ITR注目トレンド2026」は、ITRの主催イベント「IT Trend 2025『不確実性に挑むエンタープライズAI』」(2025年11月18日(火)10時開催)で配布する資料に記載しています。

■AIによる競争力創出

人間の意図をベースにしたAI主導開発の推進
AIによるアプリケーション開発は、従来作業に対するAI支援のフェーズを経て、人間の意図をAIが理解し、設計〜実装〜運用をAIが担当する「意図駆動型AI主導開発」にシフトしていく。この変革により、従来型の多重下請け構造からなるSIビジネスは崩壊する可能性が高い。ユーザー企業は開発へのAI活用戦略を主体的に検討すべきであり、SIerはAI主導開発を前提とした自社のビジネスモデル変革を推進すべきである。

イノベーションを喚起するAI駆動型共創環境の整備
生成AIの進化は、情報収集や分析の効率化にとどまらず、事業アイデアの創出や検証プロセスを飛躍的に加速させている。市場環境の変化が激しさを増し、競争優位の持続期間が短縮する中、従来の属人的な発想に依存するだけでは革新を生み出すことが困難になっている。企業には、多様なアイデアのぶつかり合いから新たな価値を創出する社内共創コミュニティを整備することに加えて、外部環境分析からアイデア発想やビジネスモデルの検討までをAIが支援するイノベーション創出プロセスを構築することが求められている。

AI駆動型業務プロセスへの再設計
AIは、アシスタント的な役割から業務遂行の中核として機能する段階に入ってきている。これにより、人は監督や戦略的判断に専念し、AIが業務を支えるという体制を構築可能になる。リアルタイム分析や予測、最適化機能を備えたAIは、作業の割り当てやリソース配分を動的に最適化し、迅速な意思決定支援や業務負荷の軽減、変化への柔軟な対応を実現する。企業は、人材不足や業務効率化に応えるため、業務プロセスと業務データ基盤をAI前提で再設計し、AI駆動型業務遂行への転換を推進することが求められる。

AIファーストなエンタープライズシステムの強化
基幹系システムの役割は、業務機能のシステム化や効率化から、データ活用基盤へとすでにパラダイムシフトしている。多くの企業が掲げるデータドリブン経営の実現や、AIで活用しやすいファクトデータを蓄積できるエージェンティックなSSOT(Single Source of Truth)の実現において、Data Flow Hub基盤の重要性がより高まっている。基幹系システムのクラウド化を契機に、周辺システムの脱サイロ化に取り組む企業の挑戦は、少なくとも2030年まで続くであろう。

■ITマネジメントの高度化

クラウドネイティブなIT投資管理体系の確立
近年、DXの推進やAI適用業務の拡大により、企業のIT投資は増加の一途を辿っているが、多くの企業はその投資効果を十分に評価できていない。また、クラウドシフトの進展に伴い、業務部門主導のIT支出が増加しており、IT支出全体の把握や費用対効果の評価がより困難となっている。こうした状況から、クラウドサービスのコストの可視化と最適化を推進するFinOpsや、IT投資全体をビジネス戦略と紐づけて管理するTBMといったフレームワークを活用し、クラウドネイティブなIT投資管理体系を確立することが求められる。

AI時代のインテグレーションアーキテクチャ変革
AIの進展と環境変化の加速により、企業ITは複数の業務システム、データ、AIが複雑に連携する構造へと転換しつつある。iPaaSは、このマルチディメンジョナルな環境に対応しそれらを再構成し、目的や要件に応じた柔軟な組み換えを可能とする「ダイナミック・インテグレーション」へと発展する。その実現には、組織構造、人材スキル、投資配分、ベンダー戦略を中長期的な視点で再設計する変革ロードマップの策定が不可欠である。

ITインフラと運用のAIネイティブ化に向けた変革
AIインフラの構築が加速し、コストやパフォーマンスの最適化、データ主権の観点から、エッジを含むオンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド構成を選択する傾向が強まっていく。IT運用領域ではAIエージェントが複数のツールを操作し、判断から実行まで行う自律型IT運用の実現を進める企業が登場し、一部のIT環境で人的工数の大幅削減と運用品質の向上を達成する。こうした動きの中、IT運用の役割は、社内で稼働するAIエージェントの安全性や行動を監視し、判断や行動の妥当性を評価するAgentOpsの担い手へと進化していくことが求められる。

セキュリティインシデント発生に備えた即時対応体制の確立
セキュリティインシデントの発生を前提とした対策が求められる中で、CSIRTの重要性が一層高まっており、近年ではCSIRTが効果的に機能するためのツールの導入も進んできている。また、ツールを利用し効率的にCSIRTを運営するには、セキュリティインシデントを想定した実践的な演習の実施や、発生時の対応手順を体系的にまとめたプレイブックの整備が不可欠である。さらに、自組織のインシデント対応能力の強化に向け、他組織の対応事例や知見を取り入れるべく、セキュリティコミュニティへの積極的な参画を推進すべきである。

■人材・知識の戦略的活用

AI進展を見据えたスキルシフトの加速
AIテクノロジの進展・普及により、IT系、エンジニアリング系、事務系をはじめとする多くの職務が自動化の検討対象となる。これにより、企業の人材ニーズの変容が進み、人事部門においてはスキルシフトを伴う人材計画の見直しと人材ポートフォリオの再考が急務となる。企業は将来の人材ニーズを視野に入れて、AIエンジニアといった新職種の人材確保に向けた検討を開始すべきである。

AI/XRによる人材育成の変革とパーソナライゼーションの推進
企業での集合研修の実施形態は、リモート形式の採用だけでなく、対話型生成AIを利用した質疑応答や、VR/ARなどを使ったメタバース/XR研修を始めるなど変革期を迎えている。一方で、個々の社員のニーズに応じたカリキュラム提案や教材作成がAIにより実現可能となってきている。先進テクノロジを使った人材育成の変革と、研修内容のパーソナライゼーションの推進が企業に求められる。

アトミック合成型ナレッジマネジメントへの転換
生成AIの普及に伴い、知識の最小単位を文書と位置づける「ファイル検索型」のナレッジマネジメント・システムは次第に陳腐化していく。知識集約型の組織においては、知識を細分化して構造的に管理し、用途に応じて組み合わせて出力する「アトミック合成型」のナレッジマネジメントへの転換が求められる。

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