独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:三浦 元裕、以下「ITR」)は、国内のERP市場の提供形態別市場規模推移および予測を発表します。
ERP市場の2023年度の売上金額は2,027億円、前年度比17.7%増となりました。2024年度は同18.2%増と2023年度を上回る伸びを予測しています。この好調な成長の背景には、インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正対応に加え、DX推進に伴って老朽化したERPシステムのリニューアル案件が着実に増加していることがあります。企業はデジタル化への取り組みを強化するとともに、ビジネスの基盤である基幹システムの刷新に向けた投資を継続しており、同市場は中期的にも2桁増で推移することが見込まれます。
同市場を、パッケージとSaaSの提供形態別で比較すると、2023年度のパッケージ市場は前年度比2.2%増となったのに対して、SaaS市場は同29.3%増の高い伸びを示しました。CAGR(2023~2028年度)ではパッケージ市場はマイナス2.0%、SaaS市場は同20.6%を予測しています。

ITRのプリンシパル・アナリストである浅利 浩一は、「経済産業省が2018年に提唱した『2025年の崖』の節目に当たる年となりましたが、多くの企業は、DXならびにデータドリブンな経営基盤の強化を目的とする基幹系システムの刷新に引き続き注力しています。今後は、短期的には2027年度、中長期的には2030年度に向けてシステム稼働のマイルストーンを設定した導入が進められていくでしょう。当初懸念された導入パートナー不足も、短期、中長期で案件が分散・平準化されていることである程度解消できています。データドリブンな経営を継続的に推進するには、さまざまなシステムに散在するデータを“つなぎ”、“共有する”ための基盤を確立しなければなりません。クラウドERPは、変化・変動するシステムやさまざまなデータを連携しつつ、システム全体のデータに完全な一貫性を持たせるためのSSOT(Single Source of Truth)の中核要素として、今後も成長を続けるでしょう」とコメントしています。
調査概要
今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート『ITR Market View:ERP市場2025』に詳細を掲載しています。同レポートには、ERP市場を対象に、国内53ベンダーへの調査に基づいた2022~2023年度売上げ実績および2028年度までの売上げ予測を掲載しています。