1. TOP
  2. 新着情報
  3. ITRが『IT投資動向調査2024』の結果を発表

プレスリリース

2024年度のIT予算は増額基調が継続
AI関連製品・サービスへの投資意欲が加速
ITRが『IT投資動向調査2024』の結果を発表

独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:三浦元裕、以下「ITR」)は、2023年8月から9月にかけて国内企業を対象に実施したIT投資動向調査の一部結果を発表いたします。また、全調査結果を掲載したレポート『国内IT投資動向調査報告書2024』を本日より販売開始いたします。

2023年度に強まったIT予算の増額基調が2024年度も継続する見込み

2023年度(2023年4月~2024年3月)のIT予算額が「増額」したと回答した企業の割合は44%となり、前年調査の2022年度(2022年4月~2023年3月)の同回答(41%)をさらに上回り、調査の最高値を更新しました。また、2023年度は「減額」した企業は2ポイント減の5%となりました。2024年度のIT予算額も「増額」を見込む企業は44%を占め、増額基調が継続されると予想されます。特に、売上規模500億円以上の企業では過半数が2023年度および2024年度ともに「増額」とし、IT投資に旺盛な姿勢が見られました。

<参考資料1> IT予算額の増減(2022~2024年度予想)
<参考資料1> IT予算額の増減(2022~2024年度予想)

この増減傾向を指数化した「IT投資インデックス」を見ると、実績値は3年連続で上昇し、2023年度は前年調査時の予想値(3.32)を上回る3.69となり、過去最高値である2006年度の実績値(3.88)に迫りました。また、2024年度の予想値は3.60と、2023年度とほぼ同水準の高いIT投資意欲が維持されることがここでも示されました。

<参考資料2> IT投資インデックスの推移(2001~2024年度予想)
<参考資料2> IT投資インデックスの推移(2001~2024年度予想)

※IT予算の前年度比の増減が「20%以上の増加」を+20、「10%から20%未満の増加」を+15、「10%未満の増加」を+5、「横ばい」を0、「10%未満の減少」を-5、「10%から20%未満の減少」を-15、「20%以上の減少」を-20、として積み上げて回答数で除した値(2016年度以降)。2015年度以前の値は、調査時の設問の選択肢が異なったため、「20%以上の増加」を+20、「20%未満の増加」を+10、「横ばい」を0、「20%未満の減少」を-10、「20%以上の減少」を-20、として同様に算出。

ビジネス領域のDXテーマへの取り組みが進展

企業におけるDX推進に向けた具体的な施策の進展状況を確認すべく、DXに関する16項目のテーマへの取り組み状況を尋ねました。進行中・実施済みの企業は、「ワークスタイルの変革」と「業務の自動化」がともに4割を超えましたが、これらを含め、ほとんどのDXテーマは前年度からほぼ横ばいとなりました。こうしたなか、「製品・サービスの付加価値向上」や「他社との共創、エコシステムの構築」といった「製品・サービスの競争力向上領域」のDXテーマでは、進行中・実施済みの企業、さらには成果が出ている企業が増加しました。社内業務やシステムのDX推進だけでなく、ようやくビジネス領域でのDXテーマに取り組む企業が増えてきたことが読み取れます。

<参考資料3> DXテーマの取り組み状況の変化
<参考資料3> DXテーマの取り組み状況の変化

2024年度はAI関連製品・サービスへの投資が加速

企業ITに関わる代表的な製品・サービスを「インフラ/デバイス」「ミドルウェア」「業務系システム」「情報系システム」「セキュリティ」の5分野から全107項目を選出し、2024年度に新規で導入する可能性のある企業の割合を「2024年度新規導入可能性」、導入済み企業における2024年度の投資額の増減傾向を「投資増減指数」として算定し、動向を分析しました。

その結果、2024年度の新規導入可能性は、前年調査で2位であった「AI/機械学習プラットフォーム」が1位に上昇し、2位には今回調査項目に加えた「生成AI」が位置し、AI関連の製品・サービスが上位2項目を占めました。過去2年の調査で1位であった「電子契約/契約管理」は今回3位となり、バックオフィス業務のDXを担うサービスである「電子請求書」(今回の新規項目)がインボイス制度の影響もあり4位に続きました。

投資増減指数は、前年調査で2位の「5G(パブリック)」が1位に浮上し、2024年度に新規導入フェーズから投資拡大フェーズに移ると見られます。「AI/機械学習プラットフォーム」と「生成AI」は、新規導入可能性だけでなく、投資増減指数でも5位以内に位置しており、未導入/導入済み企業ともに2024年度に向けて投資意欲が高い分野となっています。さらに、生成AIへの注目が影響したと推察されますが、「音声認識」および「画像認識」が投資増減指数で上位10入りしました。2024年度は、AI関連分野の製品・サービスへの投資が加速すると予想されます。

<参考資料4> 2024年度に新規導入/投資増額が期待される上位10製品・サービス
<参考資料4> 2024年度に新規導入/投資増額が期待される上位10製品・サービス

ビジネス領域のDX実践に向け、AIなどの先端技術の研究とIT投資計画の策定を

今回の調査結果を受けて、ITRのプリンシパル・アナリストである三浦竜樹は、「2023年度の国内企業のIT投資インデックスは3年連続で上昇し、2024年度も今年度とほぼ同水準の高いIT投資意欲が維持される見込みとなりました。DXの取り組みは全般に足踏み状態が見られますが、『製品・サービスの付加価値向上』や『他社との共創、エコシステムの構築』といったビジネス領域のDXに取り組む企業が増加しており、この点は最も注目すべき動向といえます」と述べています。
具体的なIT製品・サービスへの投資意欲に関しては、「2024年度は『AI/機械学習プラットフォーム』『生成AI』『音声認識』『画像認識』といった、AI関連の製品・サービスへの投資意欲の高まりが見て取れました。また、DXで成果が得られている企業では、『社内に、AI、IoT、5Gなどの先端技術の活用を研究するチームやスタッフを置いている』割合が高いという結果も示されました。今回の調査結果からも、企業は、先端技術の将来的なビジネスにおける適応性を検証し推進するために、IT部門やDX専任部門内に検討・検証チームを設置し、IT予算を確保することが求められます」と述べています。

調査の概要

本調査は、ITRが2023年8月18日から9月1日にかけて実施したもので、ITRの顧客企業や主催セミナーへの出席者ならびにWeb調査の独自パネルメンバーなどのうち、国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者に対して、Web経由で回答を呼びかけました。その結果、2,259人から有効な回答を得ました。
本調査結果の全結果および分析は、『国内IT投資動向調査報告書2024』としてITRのWebサイトを通じて、本日より販売を開始いたします。

TOP