ITRは2020年10月6日、年次のエグゼクティブ・フォーラム「IT Trend 2020」をオンラインライブ配信で開催した。今年のテーマは「ニューノーマルを切り拓くテクノロジ戦略」。これまでの社会通念や生活様式が変わり、ニューノーマルへ向けた変化が加速し、企業のテクノロジ活用は一層重要となるなか、どのようなテクノロジ戦略を備えるべきか。本コンファレンスでは、5部構成からなる基調講演をはじめ、ITRアナリストによるアナリストセッション、ITベンダーによる特別セッションの全14セッションを行った。

基調講演では、ITRのプリンシパル・アナリスト 金谷敏尊とシニア・アナリスト 三浦竜樹、そしてゲストに株式会社TOUCH TO GO 代表取締役社長 阿久津智紀氏、株式会社Synamon 執行役員 VP of Business Development 武井勇樹氏、株式会社ZMP 取締役 西村明浩氏を迎えた。
冒頭、「ニューノーマルを切り拓くテクノロジ戦略」と題し、金谷敏尊が登壇。国内外の最新のデジタルイノベーション事例を紹介した。
まず、ITRの調査結果を基に、コロナ禍の影響を受けた国内の経済情勢について概観した。今後の経済の見通しとしては「収益増減にかかわらず、約8割の企業が現在の景況感が持続すると回答しており、経済環境もニューノーマルへシフトした(元に戻らない)と見るべき」とした。そのうえで、アフター/ウィズコロナのビジネス規範として、「デジタル技術やデータによる競争優位」「先進テクノロジの先駆的な活用」の必要性を説き、ビジネスモデルチェンジは最優先課題となりえることを示唆した。また、デジタル技術を駆使したビジネス変革のために最も重要な要素として「経営者のコミットメント」をあげ、これまで以上にDXへの経営者の理解が必要になると訴えた。

続いて、シニア・アナリストの三浦竜樹が登壇。ITRが実施した「IT投資動向調査2021」の速報値から、2021年度以降にさらに加速すると見られるデジタル化の潮流と、企業のIT戦略や投資の方向性について最新動向を解説した。
三浦の分析によれば、コロナ禍にあって、従業員の多くが「テレワーク」を実施している企業やDXが加速すると考える企業では、勢いは小さいながらも2021年度のIT投資は増額傾向が維持される見込みであると紹介した。また、DXを推進する組織が明確に存在する企業は、コロナ禍での『ワークスタイル変革』などITの適応力が高く、IT予算への影響も受けにくいと考えられるとした。
また、注目すべきIT投資として、コロナ禍で緊急投資を迫られた「ビデオ会議/Web会議」「電子契約/契約管理」とこれに関連する「電子署名/タイムスタンプ」などをあげた。これに加えて、「5G」や「エッジ・コンピューティング」といったインフラ・デバイス関連技術・製品への投資も既存投資・新規投資ともに拡大するとの傾向を示した。
ゲスト講演には、株式会社TOUCH TO GO 阿久津智紀氏による「デジタルとアナログの融合で実現する省人化 無人決済店舗『TOUCH TO GO』」、株式会社Synamon 武井勇樹氏による「ニューノーマル時代におけるバーチャルコミュニケーションの可能性と最新事例」、株式会社ZMP 西村明浩氏による「ロボットの実用化へ『Robot of Everything』戦略」が行われ、アフターコロナに向けたVR、ロボット技術などの最新事例が紹介された。
午後からは、3トラックに展開。ITRアナリストとITベンダーによる13セッションが行われた。