ITRは2018年10月4日、年1度のエグゼクティブ・フォーラム「IT Trend 2018」を、東京・京王プラザホテルで「ポスト2020を見据えた持続的成長のシナリオ」をテーマに開催した。代表取締役/プリンシパル・アナリストの内山悟志の基調講演をはじめ、ゲストを迎えてのパネルディスカッション、ITRアナリストによるアナリストセッション、ITベンダーによる特別セッションの全17セッションを行った。同フォーラムには、ユーザー企業の経営者やCIO、情報システム部門長など約900名の来場者を迎えた。

基調講演では代表取締役/プリンシパル・アナリストの内山悟志が「ポスト2020に向けた企業変革への道標」と題し、デジタライゼーションの波が押し寄せる中、企業が変革を推進していくためには、従来の業務プロセス改革と異なる企業の根幹にかかわる変革が求められるとし、企業に求められる環境整備と変革のアプローチについて講演を行った。

まず、2020年以降に企業ITを取り巻く環境がどのようなものか、「IT業界」「テクノロジ」「ユーザー企業」の側面からそれぞれ述べ、国内のあらゆる業界でデジタル・ディスラプションが起こり続けていることを指摘した。これに対して、既存の大企業でもさまざまな取り組みを通じて、試行錯誤を繰り返す事例が増えつつあり、変革の大きな波を感じていると述べた。次に、デジタル時代に求められる企業内変革として、意識、制度、権限、組織、人材の5点をあげ、これらの環境整備を成熟度の観点から確認していくべきだと訴えた。最後に、具体的にデジタル変革を推進するためには、段階的かつトップダウンとボトムアップ両面からのアプローチが必要であり、特にUberやAirbnbといったデジタルネイティブ企業から学ぶべき行動様式があると提言し、講演を締めくくった。
続いて特別講演では「持続的成長に貢献するイノベーションのあるべき姿とは」と題し、ヒト・モノ・カネが集中している大企業こそがイノベーションの主役になるのではないかという仮定のもと、イノベーションの創出に挑んでいる3名のITリーダーを迎え、パネルディスカッションを行った。




キャリアや経験がイノベーションに反映されるのか、社内での他の組織の巻き込み方、イノベーションには技術力がどの程度必要か、オープンイノベーションへの取り組み、注目するテクノロジ、期待する人材、採用で工夫していること、といったテーマで本音を隠さない熱い討論が展開された。
午後からは、これまでで最多となる15セッションがITRアナリストとITベンダーにより繰り広げられ、スマートテクノロジ革新やデジタルトランスフォーメーションに関するさまざまなテーマで最新動向および展望、将来像を解説した。