1. TOP
  2. 新着情報
  3. 「IT Trend 2014」開催報告

ITトレンド開催報告

「IT Trend 2014」開催報告
デジタルイノベーションによって描かれる近未来と企業ITへの提言を多様な視点からアナリストが講演

ITRが主催する年1度のエグゼクティブ・フォーラム「IT Trend 2014」が2014年5月14日、東京・京王プラザホテルで開催され、ユーザー企業の経営者やCIO、情報システム部門長など約750名が来場した。ITR 代表取締役/プリンシパル・アナリストの内山悟志の基調講演をはじめ、コンステレーション・リサーチ 会長兼プリンシパル・アナリストのR“レイ”ウォン氏の特別講演、当社アナリストによるアナリストセッション、ITベンダーによる特別セッションなど全12セッションが行われた。

将来のIT部門は企業の変革を推進する「デジタルイノベーション」に

基調講演ではITRの代表取締役/プリンシパル・アナリストである内山悟志が、デジタル化の波が企業のビジネスに大きな影響を及ぼすとし、これらの流れが企業ITにどのような影響を与えるのか、またどう備えるべきかについて「企業変革を促進するデジタルイノベーションの潮流」と題し講演を行った。

ITR 代表取締役/プリンシパル・アナリスト内山悟志
ia_20140514_1_1

ITRが毎年行っている「IT投資動向調査2014」によると、企業のIT投資は、2008年のリーマンショックによる冷え込みの後、2010年以降は回復傾向を示しており、2013年度は5年ぶりの高成長となった。また、業績が「非常に好調」「やや好調」と認識している企業ほどIT予算を増加させているという傾向が見られ、その内容としても戦略投資の割合が大きいと述べた。ビジネス環境が大きく変化していく中で、企業のIT投資への姿勢が企業競争力の格差(デジタルデバイド)となって表れてくるだろうと指摘した。

さらに、コンシューマー技術が企業、産業分野で適用されるようになり、デジタル化の波はすでにさまざまな変化を起こし始めていると述べ、企業ITはこの経営環境の変化に柔軟かつ俊敏に対応するためのプラットフォームを整備する必要があるとした。

最後に、IT部門は、経営者や事業部門から戦略・課題を受けてそれを実現・解決する手段を提供するという従来の役割から、経営者に対しビジネスやITの将来像を示し、事業部門の変革ニーズに対して能動的な提案をし、企業の変革を推進するといった「デジタルイノベーション」という新たな役割を担い、構想段階から積極的に関与することが求められると提言した。

将来のIT部門は企業の変革を推進する「デジタルイノベーション」に

続いて、コンステレーション・リサーチ会長兼プリンシパル・アナリストのR“レイ”ウォン氏が「The Future of Digital Business」と題して講演を行った。

コンステレーション・リサーチ会長兼プリンシパル・アナリスト R“レイ”ウォン氏
ia_20140514_1_2

まず、ウォン氏は、Mobile、Social、Cloud、Big Data、Videoといったデジタル化の波は多くのものを変化させており、これらのデジタルイノベーションによりビジネスモデルは変革を迫られていると述べた。Cloudは変革のプラットフォームとして不可欠であり、多くの人がSocial Mediaを利用し、これにMobileから得られる位置情報(Location)が加わり、Big Dataとしてビジネスに利用されていると語った。これらは単なるテクノロジの変化ということではなく、新しいビジネスモデルへの変革であり、今や企業は、製品や商品を売るのではなく、ブランドや、そのブランドの持つ“Experience”を売っていると、主張した。これらを実行するには、データをビジネス基盤とし、比較・分析するなど、情報により差別化を図っていかなればならないとした。また、同氏は、これからのCIOには4つの役割が求められるとし、テクノロジの側面から「Chief Infrastructure Officer」と「Chief Integration Officer」、そしてビジネスの側面からは「Chief Intelligence Officer」と「Chief Innovation Officer」としての役割をあげた。

最後に、ウォン氏は、これからはビジネス視点でテクノロジを考えることが必要であり、MobileやBI、Big Data、Cloudが、ビジネスや将来の働き方(Future of Work)をどのように変えていくのか。その意味で、ビジネス部門とIT部門が協力して変革を進めていかなければならないと力強く語り、講演を締めくくった。

ia_20140514_1_3

その他、4社のITベンダーによるセッション、ITRアナリストによる6つのセッションが行われ、フォーラム終了後に開催された懇親会では、多数の来場者が参加し、情報交換や意見交換が活発に行われた。

TOP