オントロジーやコンテキストという言葉は、昨今のAI技術、なかでもAIエージェントと併せて語られることが増えてきている。オントロジーは、従来の手法やモデリングの限界を超えて、業務知識やビジネスルールをシステムで実装し継続進化させていくポテンシャルを内在している。本稿では、企業がAI技術を活用するためにオントロジーをどう捉え、どう位置づけていくべきかについて述べる。
オントロジーとは何か
生成AIが普及しAIエージェントが注目されるなか、オントロジーやコンテキストという言葉が、さまざまな局面で当たり前に使われるようになってきている。ITR Review『AI時代の人事システム』(R-226094)では、オントロジーを「用語や概念の関係を体系的に整理したもの」と簡潔に解説したが、オントロジーと聞いてその意味や内容を即座に理解できる人は多くないだろう。特に、オントロジーの哲学に由来する解釈やアカデミックな説明、例えば、「オントロジーとは存在論(世界を構成する本質的な実体である)」といったことを調べても、その内容は企業の実務からほど遠く、まるで雲をつかむようなものとなろう。そのため、一般的に、オントロジーは、AIが業務やデータの意味を理解するための設計図である、AIエージェントが業務知識やルールを理解して実行するためのモデルである、と説明されている。設計図やモデルと表現することで、多少理解しやすくなっているかもしれないが、まだ曖昧な部分を多く残したままではないだろうか。
一方、ソリューションやエンタープライズシステムの現場においては、オントロジーはどう位置づけられ、活用されているのだろうか。高度なデータ解析およびAIを活用したソリューションで注目される米Palantir Technologies社ではどう捉えているかを確認してみよう。同社は、国防をはじめとする米国政府や大企業を顧客としており、従来は自社のコンサルティングノウハウやソリューションの内容を開示しなかった。しかし、Palantir AIP (Artificial Intelligence Platform)やPalantir Foundryといった、企業のデータを生成AIやAIエージェントと結びつけ、業務の自動化や意思決定を支援するプラットフォームを提供するに伴い、情報公開に積極的な姿勢に転じている。