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ITR Review

コンテンツ番号:
R-226053
発刊日:
2026年5月19日

業務のAI自律実行を阻む暗黙知の壁

判断基準の形式知化とデータマネジメントプロセス再設計

著者名:
水野 慎也
業務のAI自律実行を阻む暗黙知の壁のロゴ画像

AI活用の進展により、業務プロセスを自律的に遂行する可能性が現実味を帯びている。一方で、現場に蓄積された暗黙知や不整合なデータ構造がその実現を阻んでいる。本稿では、AI時代に求められるデータマネジメントプロセスのあり方を考察する。

業務プロセスに点在する「判断」と「調整」

近年、企業業務におけるAI活用は急速に進展している。特に生成AIやAIエージェントの登場により、従来は人が担ってきた判断や実行をAIが代替し、業務を自律的に遂行する世界が現実味をもって語られるようになった。AIは複数の業務プロセスを横断し、状況に応じ意思決定を行い、処理を実行する存在として期待されている。PoCなどでの成功例がみられる一方で、現時点では多くの企業がAIによる業務の自律実行には慎重な姿勢を崩していない。その背景には、AIが生成する判断や処理結果の妥当性に対する業務現場の違和感やリスク認識が根強く存在する。

この課題を具体的に捉えるため、日配品メーカーにおける受注から製造指示までの業務を例に考える(図1)。日配品とは洋菓子やチルド総菜などを指し、大手メーカーでは1日に複数回の受注締めに応じて製造数量が都度調整される。リードタイムが短いため、需要予測に基づく前処理や先行生産も行われ、その後の受注状況に応じた補正が繰り返される。このプロセスでは、需要予測の確認、製造能力の把握、受注確定による補正、進捗確認、在庫に応じた保管調整、出荷リソースに応じた時間調整など、多数の判断と調整が連続して行われる。これらは画一的なルールだけでなく、経験や現場感覚を踏まえた総合的判断として行われることが多い。

図1.業務プロセスに存在する複数の判断

図1.業務プロセスに存在する複数の判断
出典:ITR

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