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ITR Review

コンテンツ番号:
R-225128
発刊日:
2025年12月16日

業務自動化の新たなる潮流

プロセスの協調と全体最適化を実現する「オーケストレーション」

著者名:
舘野 真人
業務自動化の新たなる潮流のロゴ画像

RPAの登場を契機に多くの企業で実践されたタスクレベルの自動化(オートメーション)は、新たな次元へと進化を遂げようとしている。本稿では、複数のシステム、プロセス、そして人間をも連携・統合し、ビジネスプロセス全体の最適化を図る「オーケストレーション」という概念について解説する。

「点の自動化」の成果と限界

2010年代中盤以降、日本企業において、RPAは、人間が手作業で行ってきた定型業務を自動化する手段として採用が進んできた。その結果として、タスクレベルでは効率化、コスト削減、人為ミスの削減といった成果がもたらされたことは事実である。しかしその一方で、局所的な自動化(いわゆる「点の自動化」)の限界もまた指摘されている。個別に導入されたRPAロボットが管理されないまま乱立する「野良ロボット」問題、メンテナンスコストの増大によるROIの伸び悩み、業務プロセスの変更への適応力の低さなどに悩む企業も少なくない。つまり、個別最適の積み重ねは必ずしも全体最適につながらないことが、自動化の分野でも共通認識となりつつある。

ちなみに、ITRが2024年に実施した調査では、RPA導入企業のうち7割以上が自動化の適用範囲の拡大を望みながら、そのうちの半分近くが「思うように進んでいない」と回答していた(「ITR White Paper:RPAと業務自動化の最新動向」C-24040172)。また、適用の深さについても「タスクレベル」の自動化にとどまっている企業が36%と最多の割合を占め、「全社業務レベル」の自動化を実現できているとした割合はわずか13%にとどまった。

ユーザー企業の間では、タスクを自律的に実行できるAIエージェントに対する期待が高まっているが、そのAIエージェントも、単独で実現できることはあくまでも「点の自動化」である。自動化の範囲を「線」さらには「面」へと広げていくことの重要性は、今後むしろ高まると考えるべきであろう。

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