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ITR Review

コンテンツ番号:
R-225122
発刊日:
2025年12月1日

システムと人材のモダナイゼーションアプローチ

イノベーションの継続的な創出に向けて

著者名:
入谷 光浩
システムと人材のモダナイゼーションアプローチのロゴ画像

経済産業省がDXレポートで「2025年の崖」という課題を提起してから7年が経ったが、依然として多くの企業でレガシーシステムが残存しており、DX推進の足かせにもなっている。本稿では、レガシーシステムからの脱却に向けたモダナイゼーションについて、技術と人材の両面から解説する。

レガシーシステムの状況

2018年に経済産業省が公開したDXレポートでは、日本企業が抱える構造的課題として「2025年の崖」が指摘された。多くの企業では、レガシーシステムという技術的負債を抱え続け、システムの複雑化やブラックボックス化が進行している。その結果、新技術の導入やデータ活用が阻害され、運用・保守にかかるコストや人員負担は増加の一途を辿っている。加えて、老朽化したシステムはサイバーセキュリティ上の脆弱性や障害発生リスクを高める要因にもなっている。同レポートでは、こうした問題を放置した場合、2025年以降に最大12兆円規模の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしていた。

その後7年が経過し、情報処理推進機構(IPA)が公表した『DX動向2025』によると、2024年度時点で、「一部領域にレガシーシステムが残っている」(34.2%)、「半分程度がレガシーシステムである」(13.0%)、「ほとんどがレガシーシステムである」(15.5%)を合計すると、日本企業の62.7%が依然としてレガシーシステムを抱えている(図1)。また、2022年度から2023年度にかけては、「レガシーシステムはない」と回答した企業の割合が増加し、「ほとんどがレガシーシステムである」の割合は減少するなど、モダナイゼーションの進展がみられたが、2024年度になるとその改善傾向は停滞し、レガシー刷新の歩みが頭打ちの状況にあるといえる。

図1.レガシーシステムの状況

図1.レガシーシステムの状況
出典: IPA『DX動向2025』を基にITRが作成

同調査では、レガシーシステムがDX推進の足かせになっているかどうかも質問している。その結果、17.9%が「大きな足かせになっている」、35.6%が「やや足かせになっている」と回答し、半数以上がDX推進の足かせになっているとした。さらに、「現在DX推進には影響しないが将来足かせになる可能性がある」と回答した企業は31.9%にも及んでいる。DXレポートで提起されたレガシーシステムの課題は、依然として多くの企業にとって未解決のままである。

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