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ITR Review

コンテンツ番号:
R-225094
発刊日:
2025年9月8日

マイクロサービス運用管理のポイント

技術/プロセス/人材の一体改革の必要性

著者名:
甲元 宏明
マイクロサービス運用管理のポイントのロゴ画像

マイクロサービスは柔軟な開発運用を可能にする一方で、多数のサービスが相互に依存する構造となるため、運用管理の複雑性が増す。従来の運用手法では障害の特定や管理が困難となり、可視化や自動化の不足が大きな問題を引き起こす。マイクロサービスの運用管理を成功させるには、サービスディスカバリ、オブザーバビリティ、GitOpsなどの実践が不可欠である。さらに、組織体制の整備やFinOpsの導入を通じて、技術/プロセス/人材を一体で改革することが成功への鍵となる。

マイクロサービス運用の特性と課題

マイクロサービス・アーキテクチャは、従来のモノリシック・アプリケーションが巨大な単独システムであるのに対し、小さな独立したサービス群で構成され、開発運用の柔軟性を高めることを目的としている。しかし、多数のサービスからなることでシステム全体の複雑性が高まるため、運用管理にはモノリシックとは異なる視点での配慮が必要となる。

まず、サービス数の増加により、監視対象のインスタンスや依存関係が指数的に増大する。ある1つのサービスの遅延や障害が他のサービスに連鎖し、システム全体の可用性に影響を及ぼすため、単一障害点の排除だけでなく、「システム全体の健全性」を俯瞰的に管理する必要がある。

さらに、マイクロサービスでは、開発チームごとに利用言語/フレームワーク、テクノロジ/サービス、ライブラリなどが異なることが多く、従来の運用管理手法を適用すると運用負荷が増加する。開発スピードを優先するあまり、ログやメトリクスの収集方法にルールが欠落していると、障害時にボトルネックの特定が困難になる。加えて、クラウドネイティブなIT基盤/プラットフォームを利用する場合、コンテナオーケストレーション(Kubernetesなど)、サービスメッシュ、CI/CDパイプラインといった複数の管理レイヤーが絡み合い、単純な「運用保守」ではなく「複雑なエコシステムの制御」が求められる。

このように、マイクロサービス運用の本質的課題は「分散による複雑性の増加」にあり、その克服には新たな管理規律と自動化の仕組みが不可欠となる。

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