アプリケーション開発へのAI活用（前編）

世界規模で生成AIをはじめとする各種AIに対する注目度が増している。アプリケーション開発にAIを活用する動きも始まっているが、現時点では十分な成果があがっているとはいえない。しかし、今後急激に技術発展やサービス拡充がなされる分野であることは間違いなく、AIに消極的な国内企業も各種AI技術や技術開発企業／サービス提供事業者の動きに注視し、自社のアプリケーション開発に積極的に活用するための準備を開始すべきである。

国内企業のAI活用動向

近年、IT系メディアやSNSにおいて生成AIに関する話題が頻繁に取り上げられている。日本だけではなく、世界規模で生成AIの潜在的可能性が注目されている。このような状況において、国内企業は生成AIにどの程度取り組んでいるのであろうか。ITRの調査結果から、国内企業において近年注目されるIT動向を具体的な施策に落とし込んだ項目に関する重要度、および2023年度の実施率と今後の実施率予想を図1に示す。

図1．主要なIT動向の重要度指数と現在および今後の実施率予想

重要度が最も高いのは「全社的なデジタルビジネス戦略の遂行」つまりDXとなり、次いで「基幹系システムのクラウド化の実践」と「デジタル人材の育成」と続き、この結果は数年変化していない。今回の調査から調査項目に加えた「生成AIの業務への適用」の重要度は、全項目中3番目に低い値となり、国内ではAI活用に積極的な企業はまだ少ないことがわかった。

一方、生成AIをはじめとするさまざまなAIをアプリケーション開発に活用する試みは、世界規模ですでに始まっている。日本でも「デジタルネイティブ」とも称されるWebサービス系やEC系の企業では、積極的にアプリケーション開発へのAI活用の試みがなされている。前述の通り、一般的な国内企業においてはアプリケーション開発への適用はもちろんのこと、各種業務へのAI活用でさえまだ消極的な状況である。しかし、現在アプリケーション開発の内製化に取り組む企業が増えていることから、エンジニアの確保や育成に苦慮している企業も多い。アプリケーション開発の生産性や品質向上にAIが有効であることが明らかになれば、国内企業のアプリケーション開発へのAI活用に拍車がかかると考えられる。