国内企業においてPaaSの利用企業数はIaaSのそれを上回っている。今後、FaaS(サーバレス)やCaaS(Container as a Service)の利用企業も増加すると予想される。企業は、「インフラ運用保守」というビジネス価値が低い業務を最小化し、ビジネス価値のある「アプリケーション開発」に集中するために、CaaS/PaaS/FaaSを積極的に採用すべきである。
クラウド関連テクノロジの活用動向
SaaS/PaaS/IaaSをはじめ、数多くのクラウド関連テクノロジが登場しているが、それらに対する国内企業の活用動向を図1 に示した。
出典:ITR『ITR Market View:ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/電子請求書サービス/電子契約サービス市場2023』
これは、年間売上高500億円以上の企業のITインフラの関与者を対象に行った調査結果である。活用割合(「全社的に活用している」と「一部で活用している」の和)が最も高いのは「SaaS」(63%)、次いで「PaaS」(51%)、「IaaS」(46%)となった。SaaSはいまや当たり前の選択肢になっているが、まだ約3分の1の企業がSaaSを活用していないのは意外である。インフラ系のクラウドサービスで最も長い歴史があり、広く認知されているIaaS(仮想サーバおよびベアメタルのサービス提供)よりも、PaaSを活用している企業が5ポイントも多い。これは、DXに取り組む企業が多いなか、アプリケーションをIaaSよりも迅速に低コストかつ高セキュアで開発することが可能なPaaSに注目が集まっていることに起因する。
「マイクロサービス」「コンテナ/Kubernetes」「サーバレス/FaaS」という比較的新しいテクノロジを活用している企業は約3分の1となり、SaaS/PaaS/IaaSよりも少なかったが、今後これらのテクノロジを活用する企業は増加するとITRでは見ている。