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ITR Review

コンテンツ番号:
R-223054
発刊日:
2023年5月1日

2030年代も生き残るERP

最新の市場調査結果から読み解くこの10年の変遷

著者名:
浅利 浩一
2030年代も生き残るERPのロゴ画像

ITの技術進展は速く、新たなテクノロジや製品が次々に登場する。そうしたなかで、コンセプトが生まれ、初期の製品が市場に投入されてから約30年が経過したERPは、もはやレガシーといっても過言ではない。しかし、ERPを置き換えるような新たな製品や開発手法はいまのところ登場していない。国内のERP市場はいまだに伸びが見られることから、ERPは、2030年代においても企業の基幹系システムにおける主要な選択肢として在り続けるだろう。

「ERP市場2023」からの概況とこれまでの変遷

ITRは、毎年実施している国内ERP市場調査の最新結果を市場調査レポート『ITR Market View:ERP市場2023』として2023年3月に発刊した。同調査結果によると、ERP市場の2021年度の売上金額は1,467億円、前年度比16.3%増となり、2022年度も同12.1%増を予想している。これまでERPを導入していなかった企業での新規導入、およびすでに導入している企業での刷新(最新版の導入、スコープの拡大、利用者数の増大など)も順調に推移している。初期導入から通算すれば、何回もアップグレードを経験した企業も増えてきた。ERPに対する投資は中期的には緩やかに沈静化しながらも、デジタル変革の推進に伴い、基盤となる基幹系システムを漸進的に強化する流れは今後も続くと予想される。このことから、ITRでは同市場の年平均成長率CAGR(2021~2026年度)を10.5%と予測している。

国内でERPパッケージの最初の導入事例が確認できるようになったのは1993年から1994年頃であり、この2023年で約30年が経過したことになる。初期の頃に流布した「ERPは経営手法である」といったキーワードは、日本語のウィキペディアに「企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念のこと」と記述され、それがいまだに残っている。しかし、英語のWikipediaにはそのような経営手法に類する説明はなく、「Integrated Management Software and Technology」、すなわちあくまでソフトウェアであり、その基盤を構成するテクノロジである、と簡潔に記述されている。国内でも、ERPが経営手法であるなどといった盲信や、導入すると日本企業の強みが失われるといった反ERP的な懸念がクローズアップされることはなくなり、そうした風潮はすでに過去のものとなった。エンタープライズシステムにおけるERP適用の方向性はこの30年で定着し、主要な選択肢として評価されるようになったといえるだろう。

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