モデルベース開発は、MBD(Model Based Definition)またはMBSE(Model Based System Engineering)といったキーワードに象徴され、航空機や自動車など複雑性の高い製品を開発・製造する産業で推進されている。製品および製品開発の手法そのものをモデル化してコンピュータ上で設計・開発する手法は、建設業におけるBIM(Building Information Modeling)も同じ狙いによるものといえよう。航空、自動車、建設のいずれの産業も、従来からCADで設計情報をデジタル化することに取り組んできた。しかし、CADを2Dから3Dに変更して莫大な投資を行っても、それだけで製品開発工程の生産性を飛躍的に向上させることは難しかった。なぜなら、過去に開発された製品・部品の要件・仕様・特性が適切に流用できるようにモデル化され体系化されていなかったからである。言い換えれば、顧客の要件に基づいて都度新規に開発・設計する従来手法のまま、CADのデジタル化レベルを向上しても限界があったからである。