DXの取り組みのひとつとして、人による目視業務を効率化・自動化する目的で、AI画像認識・解析の実用化が進んでいる。本稿では、AI画像認識・解析と関連製品・サービスへの投資およびAI画像認識サービスの開発手法の動向を解説する。
投資の増加が予測される画像解析関連製品・サービス
コロナ禍によってIT/デジタル技術の活用が企業活動においてますます不可欠になっている。すでに多くの企業では、リモートでの業務遂行のため、Web会議は一般的となり、電子契約サービスやRPAによる業務の効率化・自動化も進んでいるが、今後差別化を導くには、ビジネス変革や新規事業の創出を見据えたデジタルビジネス戦略が必要となる。そこで、投資が拡大しているのが「IoT」や「エッジコンピューティング」といったデバイスと、「画像解析」「自然言語解析」などのAIによる解析ミドルウェアである。
ITRが実施した『IT投資動向調査2023』では、110のIT製品・サービスの投資意欲を調査し、次年度(2023年度)において新規で導入する可能性のある企業の割合を「2023度新規導入可能性」、導入企業における次年度の投資額の増減傾向を「投資増減指数」として算出した。インフラ/デバイスおよびミドルウェア分野に絞り、プロットしたものが図1である。本稿のテーマである「画像認識」は、2023年度新規導入可能性は10.4%、投資増減指数は6.4と、比較的投資が活発になる見込みである。一方、「画像解析」を包括する「AI/機会学習プラットフォーム」や、関係する「5G(パブリック)」「IoT」は、新規導入可能性/投資増減指数ともに高いことが見て取れる。また、別の調査では、IoTやエッジコンピューティングに搭載されるセンサーとしては、画像(カメラ、イメージセンサーなど)が最も多いことがわかった(ITR Insight 2021年秋号『IoT市場動向と技術活用の課題』#I-321102)。5Gネットワーク(パブリック/ローカル)と、これらを通して収集されたデータを分析するAI/機械学習プラットフォームを活用することで、新たな製品・サービスの創出や付加価値の向上、よりデジタル化されたビジネスへの変革など、DXに関連する先進技術への投資が活発化している。
出典:ITR『IT投資動向調査2023』