経営を取り巻く不確実性が高まるなかで、ビジネス活動のさまざまな問題解決にAI技術を活用したいと考える企業は着実に増加している。現在、こうした問題解決に対する判断は、最終的に人間が担う部分が多いが、今後はAIを活用した半自動化と自動化を推進していくべきである。
不確実性の時代における意思決定プロセスのあり方
日本を取り巻く国際秩序が大きく揺らぐなか、2022年5月11日に経済安全保障推進法が可決された。同法案は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、産業に欠かせないさまざまな製品の供給が停止したことも踏まえて、国民生活や経済活動が安定して継続できるようにするためのものである。レジリエンスやサプライチェーンの強靭化を図る制度が必要になったということは、裏返せば、経営を取り巻く環境の不確実性がかつてないほど増大していることにほかならない。企業においても、ビジネス戦略や中期経営計画を掲げ、その実現のために多数の施策を実行していくなかで、こうした意思決定におけるプロセスを見直すべきとの認識が強まってきているのではないだろうか。日々技術が進化し、ビジネスの状況がめまぐるしく変わる不確実性の時代において、迅速かつ効果的な意思決定を行うためにはファクトデータに基づく予測を活用したデータドリブンな経営を推進していかねばならない。
そのためには、意思決定プロセスにAI技術を活用し、意思決定の民主化と自動化を推進していくべきであろう(ITR Insight 2020年秋号『デジタル時代の組織カルチャー』 #I-320101)。意思決定プロセスとは、AIによる予測を活用した問題解決プロセスである、と捉え直すべき時期に来ているかもしれない。