顧客接点のデジタル化は、企業が収集する顧客データの増大と多様化を招いている。こうしたなか、顧客に関連するデータをCDP(Customer Data Platform)やクラウド上のデータレイクに統合し、分析結果をマーケティングや営業活動に活用する企業が増えている。本稿では、ブランド/グループ企業間に顧客データの連携・統合を拡大する際のファーストステップを解説する。
ブランド/グループ企業間での顧客情報活用ニーズの高まり
顧客の消費行動全体、すなわちカスタマージャーニーに沿った行動データを収集・分析することは、一企業や企業の特定のブランドで取り組まれているケースが多い。しかし、ここにきて一企業内または企業をまたぐ複数のブランドあるいは複数のグループ企業(以降、「ブランド/グループ企業」と記載)を横断して顧客データを収集・分析しようとする動きが見られる。ブランド/グループ企業間の顧客DB統合とその活用イメージを示したのが図1 である。
出典:ITR
この動きの背景としては、ブランドやグループ企業で個別に構築された顧客DBや、各フェーズでの施策遂行のためのITソリューションでは、顧客情報の共有が限定的なため、顧客視点での一貫したサービス提供が困難であることがあげられる。ブランドやグループ企業が扱う商品・サービスの構成や属性にもよるが、顧客データを連携・統合することで、組織を横断して見込客により適した商品・サービスが提供可能となり、ブランド/グループ企業全体の売上拡大につながる可能性が高まる。また、ライフステージごとに変化する顧客のニーズに適した商品・サービスを提供することで、顧客の成功体験を高めることできる。さらに、ブランド/グループ企業間で販売評価制度を共通整備すれば、クロスセルやアップセルの推進力を強化することができよう。