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ITR Review

コンテンツ番号:
R-221092
発刊日:
2021年9月1日

顧客体験の効果計測とマーケティング戦略の最適化

NPS(R)調査とCXMツールの有効活用

著者名:
水野 慎也
顧客体験の効果計測とマーケティング戦略の最適化のロゴ画像

国内人口の減少やディスラプターの登場など、国内企業のマーケティング環境はより厳しさを増している。限られたマーケティング予算のなかで、自社の商品・サービスの顧客への認知と理解を高めるために、企業はより効果の大きいマーケティング施策への選択と集中が求められる。本稿では、顧客体験(CX:Customer Experience)の効果をNPS®(Net Promoter Score)活用し計測する方法を解説する。

カスタマージャーニーと顧客意識の変化

顧客のカスタマージャーニーにおいて、より商品の購買やサービス利用の意思決定に近づけるには、その商品・サービスが顧客に提供する機能的な便益(機能価値)に加え、さまざまな体験が影響すると考えられる。例えば、その商品が開発されるストーリーや作り手のこだわり、商品を提供する企業の社会的貢献活動などが考えられる。それらの機能以外の体験を通して提供される価値は、「情緒価値」「自己表現価値」「社会的価値」の3つに分類され、購買・利用に至る意思決定の後押しとなる。したがって、機能以外の価値が、顧客の満足度にどのように寄与しているかを分析することは、マーケティング戦略上重要なテーマであるといえる。

「情緒価値」「自己表現価値」「社会的価値」の効果について少し補足する。『ヒューマン・シグマ 複雑な存在〈従業員と顧客〉をマネジメントする』(ジョン・H.フレミング/ジム・アスプランド著、東洋経済新報社、2010年)によると、顧客の満足の種類には「合理的な満足(頭の満足)」と「感情的な満足(心の満足)」があるとしている。そして、顧客のロイヤルティを高め、購買・利用への意思決定を促すには、「心の満足」が大きく寄与するという。「心の満足」には、機能価値以外の「情緒価値」「自己表現価値」「社会的価値」が大きく影響するのである(図1)。

「心の満足」を満たしているかは、顧客意識の深層を把握する必要がある。それを評価するために、従来はアンケートやインタビューなどの調査方法がとられてきた。しかし、顧客と企業の関係は、単発の接点で構築されることは少なく、長い年月をかけて複数の接点を持ちながら、好印象やベネフィットを顧客に与えることによって、築きあげられるものである。多様かつ複雑な接点でCXが構築され、どの接点がどの程度購買・利用への意識変容に効果があったか(またはなかったか)を、単純なアンケートで把握することは困難である。そこでCXと意識変容の関係解明に役立つのが「NPS®」である。そして、その因果関係となるデータとの相関分析は、「CXM(Customer Experience Management)」と呼ばれる手法によって導くことができる。

図1.「提供価値」と「満足」の関係

図1.「提供価値」と「満足」の関係
出典:ITR

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