従来、採用管理業務のシステム化には採用管理システムが利用されてきたが、最近になって採用管理機能を搭載した人材管理システムが新たな選択肢として注目されている。本稿では、人材管理システムに統合された採用管理機能の特徴であるジョブ型採用への対応と、ポータブルスキルの評価について解説する。
採用管理とは
採用管理とは、入社希望者の応募から採用決定までの一連のプロセスを管理する業務のことで、その一連のプロセスは、図1のようになる。それぞれのフェーズにおいて、テストや面接の実施、結果の記録、判定が行われるため、進捗を把握するためには、さまざまなデータを保管し、簡単に閲覧できるようにする必要がある。
出典:ITR
企業では、この採用管理業務にExcelを使用しているケースが多いが、テスト/面接の実施予定の通知、結果の記録、進捗状況の把握といった情報伝達が、電子メールやファイルサーバを経由したExcelファイルのダウンロード、アップロードによって行われる場合、業務ワークフローは非効率なものとなり、結果として、見落としによる遅延や、採用の進捗状況がわからなくなるといった問題が発生する。
これらを解決するために、採用管理システムと呼ばれる採用管理業務を支援するシステムを導入する企業もある。採用管理システムは、応募者(Applicant)の採用プロセスにおける状況を追跡(Tracking)するシステムであることから、ATS(Applicant Tracking System)とも呼ばれる。同システムは、応募者が多くExcelでは管理が難しい大企業を中心に徐々に導入が進んでいる。しかし最近になって、人材管理システムに採用管理機能を搭載したものが増えており、採用管理のシステム化での新たな選択肢として注目されている。
人材管理システムに搭載されている採用管理機能は、採用管理システムが持つ機能に加えて、採用管理業務の効率化だけではなく、後述する「ジョブ型採用」への対応や「ポータブルスキル」の評価といった、採用管理の高度化を目的とした機能を持つことが特徴となっている。