国内大企業の多くがハイブリッドクラウドを目指し、自社標準のクラウド事業者を選定済みである。しかし現状ではクラウドのサイロ化が進んでいる企業が多く、パブリッククラウド採用の効果は大きいとはいえない。IT部門は、自社標準として選定したクラウド事業者に対して強力なパートナーシップを持ち、包括的に運用を委託できるベンダーを戦略的に選定すべきである。
ハイブリッドクラウドを目指す国内大企業
ITRが2020年11月に売上高300億円以上の国内企業に対して実施した『企業におけるITインフラ活用動向調査』からクラウド活用の調査の結果を図1に示す。本来、ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウドとプライベートクラウドが高度に連携していることを指すが、単に両方のクラウド環境を利用している(非連携)パターンもハイブリッドクラウドと称されることが多いことから、本調査では両方のパターンを分けて問うた。
出典:ITR『企業におけるITインフラ活用動向調査』(2020年11月調査)
この結果を見ると、自社のクラウド・コンピューティングの現状および将来像は、ハイブリッドクラウド(連携/非連携の和)であるとする企業が5割近くを占めることがわかった。
また、同調査では、自社においてクラウド事業者を選定する基準や指針を策定しているか否かを問うた(図2)。「自社標準のクラウド事業者を選定済みであり、例外は原則認めていない」とする企業(19%)と「自社標準のクラウド事業者を選定済みであり、標準外のクラウド利用検討には明確な選定基準やガイドラインがある」とする企業(40%)を合わせると、約6割の企業が自社標準の選定基準を持っていることがわかった。
出典:ITR『企業におけるITインフラ活用動向調査』(2021年11月調査)