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ITR Review

コンテンツ番号:
R-221071
発刊日:
2021年7月1日

ビジネスデータサイエンティストの育成

ビジネス貢献の視点と求められるスキル

著者名:
浅利 浩一
ビジネスデータサイエンティストの育成のロゴ画像

デジタル変革が進展するなか、多くの企業がデータの高度活用による競争力向上を目指している。そのためには、ビジネスにデータの「科学(science)」を組み込んでいく必要がある。ビジネスを理解し、データサイエンスにも長けたゼネラリストとして、「ビジネスデータサイエンティスト」があらゆる局面で重要視されるようになるだろう。企業はこうした人材を育成していくことが急務であり、数学や統計学の学位を持たなくても、ビジネスやイノベーションに貢献する要員が活躍できる環境は整ってきている。

データサイエンスの普及

ビジネスにおけるデータ分析はこの10年で大きく変わった。インターネットの普及により、WebサイトやSNSなどでの活動から創出される情報量の爆発的な増大、いわゆるビッグデータの時代を迎えたことが、まず背景としてある。この大量データを、ビジネスに利用する取り組みが本格化してきたのが2010年頃であった。それ以前は、企業が取り扱うデータは、基幹系業務システムに対して入力されるテキストおよび数値を主体とした構造化データが中心であった。しかし、インターネットや各種デジタルデバイスの普及がこの状況を一変させ、文章、会話、画像・映像など、明確に定義された変数(列)を持たない非構造化データが構造化データを量的に圧倒することとなった。しかもこれらのデータは日々増大し続けている。社内に閉じたデータだけでなく、社外に発信するデータ、顧客接点におけるタッチポイントのデータ、センサーやIoTから得られるリアルタイムのデータ、すなわち、見方によってはゴミのような些細な事実の堆積をどう宝の山に変え得るかが、企業における意思決定やデータ分析において避けて通れない課題となっている。

もう1つの背景としては、不確実性が高い時代において、DXやイノベーションへの期待が高まっていることがある。顧客やシステム利用者の体験価値の向上、新規事業の開拓、新規市場の創出などにより、企業価値や継続的な成長性を獲得するためには、もはや経験や勘だけを頼りに舵取りをすることは不可能といえる。変化が著しく先行きが不透明であるほど、また、ビジネスが多様化・複雑化して全容を捉えることが困難であるほど、現状を適切に捉えることで将来を予測し、いち早く手を打つためにデータを活用することが競争力の源泉となることは企業の共通認識となった。

そして、AI・機械学習がコモディティ化し、情報をデジタル化できさえすれば、機械学習のクラウドサービスを利用して短時間で分析できる環境が整ってきたことが、3つ目の背景である。機械学習は、過去に起こったことと同様のパターンの未来であれば、データの散布や相関関係から簡単に予測することを可能にしたのである。

図1.データサイエンスが普及する背景

図1.データサイエンスが普及する背景
出典:ITR

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