DXやビジネスイノベーションを推進するためにレガシーマイグレーションを推進する企業が増えているが、レガシーマイグレーションに多くの時間を費やせば、DXやイノベーションのスピードは低下する。レガシーマイグレーションを検討する際には、現行機能の「維持/修正/廃棄」の判断をユーザー部門に任せるのではなく、IT部門が移行コストを算出したうえで客観的かつ迅速に行うべきである。
クラウドの長所を最大化するためのアーキテクチャ「クラウドネイティブ」は今後の企業アプリケーションにとって極めて重要である。国内企業においても、クラウドネイティブに対する認知度は上がってきており、クラウドネイティブ・アプリケーションを独自に構築する企業が増えている。
ITR Insight 2020年夏号「クラウドネイティブ・アプリケーションの価値と構築指針」(#I-320073)では、既存システムを再構築する際のアセスメント・プロセスを紹介し、どのようなケースの場合にクラウドネイティブ化し、どのような場合に非クラウドネイティブでのマイグレーションを選択すべきなのかを明らかにした。このアセスメント・プロセスは、レガシーマイグレーションのためのユーザー要件、つまり、現行システムが持つさまざまな機能に対し、「現状のまま移行」「機能修正したうえで移行」「不要なため移行対象外」といった要件の整理が終わった後に実施するものである。