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ITR Review

コンテンツ番号:
R-220052
発刊日:
2020年5月1日

コモディティ化へ向かうRPA

見直しが迫られるユーザー企業の製品選定

著者名:
舘野 真人
コモディティ化へ向かうRPAのロゴ画像

現在、業種・業態を問わず導入・実用化が進んでいるRPA(Robotic Process Automation)ツールであるが、企業のデスクトップ環境に多大な影響力を持つMicrosoft社の参入が発表されたことにより、今後市場環境に変化が生じると予想される。先行する専業ベンダーも、相次いで軽量型の新製品リリースの動きを見せており、2020年はRPAツールのコモディティ化が一気に加速する可能性がある。

Microsoft社によるRPA市場参入のインパクト

Microsoft社は去る2019年11月に開催した自社コンファレンスにおいて、ついにRPA(Robotic Process Automation)機能を搭載した業務改善ツール「Microsoft Power Automate」をリリースした。これは、クラウドサービス同士をAPIで連携させることによってタスクの自動化を実現する「Microsoft Flow」の後継サービスであるが、これにAPIに対応していないレガシーシステムやデスクトップ・アプリの操作を自動化する「UI flows」と呼ばれる新機能が追加されたことで、RPAツールとしての特徴を備えたわけである。もともと備えるAPI連携による自動化機能と組み合わせて利用できることを考慮すれば、そのポテンシャルはすでに既存のデスクトップ型RPAツールを凌駕しているとさえいえる。

利用コストが極めて安価であることも、Microsoft Power Automateの特徴である。Office 365ユーザーであれば、基本機能の範囲で1日当たり最大2,000ステップまでの作業を追加料金なしで自動化することができる。作成したフロー同士を連携して動作させるといった高度な機能を利用する際には料金が発生するが、それもユーザー当たり15ドルからと抑えた価格設定となっている。

本稿執筆時点においては、Microsoft Power AutomateのUI Flowはプレビュー版の位置づけであり、日本語環境への対応が不完全である、APIが提供されない社内システムのWeb画面などの操作に制約がある、自動化できるデスクトップ・アプリの種類が少ない、といった欠点がある。しかし、デスクトップOSで圧倒的なシェアを持つWindowsの開発元であるMicrosoft社のサービスであること、Office 365が国内SaaS型コラボレーション・スイート市場で45%以上のシェア(売上金額ベース、2017~2019年度予測、出典:「ITR Market View:コラボレーション市場2019」)を獲得していることなどを鑑みれば、RPA市場にとって巨大な黒船であることは間違いない。今後、デスクトップ型RPAツールの導入を検討する企業、とりわけ、すでにOffice 365を利用している企業にとっては、Microsoft Power Automateは有力な選択肢として浮上することになろう。

図1.Microsoft Power Automateの特徴

図1.Microsoft Power Automateの特徴
出典:公開情報を基にITRが作成

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