マイクロラーニングが新しい研修形態として注目されているが、「短い動画をモバイル端末で録画、再生する研修形態」という一般的な定義だけでは、本質的な特徴と効果的な活用方法を理解することはできない。本稿では、集合研修やeラーニングによる従来型の研修と、マイクロラーニングの違いを明確にしたうえで、マイクロラーニングを効果的に活用するためのポイントを解説する。
マイクロラーニングとは何か
マイクロラーニングは、一般的に「マイクロコンテンツ(数分程度の短い動画)をスマートフォンで受講する研修形態」と定義されている。このような機能はeラーニングを提供するシステムやサービスでもすでに備わっているため、単にマイクロコンテンツを扱うことができることだけではマイクロラーニングが注目されている理由にはならない。
マイクロラーニングの登場とともに使われるようになった単語にマクロラーニングがある。マクロラーニングとは、従来から行われてきたILT(Instructor-led Training:講師つき集合研修)やeラーニングによる研修形態を意味し、マイクロラーニングと従来型の研修を比較する際に使われる。
マクロラーニングは、定型化された研修教材を使って、講師から受講者に対して一方的に講義を行う形態であるため、OJTや実習の比重が大きい研修では効果が上がりにくいとされてきた。一方、マイクロラーニングは、マクロラーニングと比較すると以下の3つの特徴がある。
- 教師と生徒の関係性がフラットで、継続的にフォローが受けられる
- 細かい教材を多数制作したうえで、タグ付けなどを用いて整備する
- 個人ごとに異なるスキルギャップ(必要なスキルで欠けている部分)を埋めるために、カスタマイズされた教材を提供する
マイクロラーニングの目的は、これらの特徴を活かして、マクロラーニングでは効果が上がりにくいOJTや実習の比重が大きい研修を、ITで効率化、高度化することであり、マクロラーニングを置き換えるものではなく、相互に補完するものといえる。