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ITR Review

コンテンツ番号:
R-219081
発刊日:
2019年8月1日

デジタル時代の情報システム子会社の存在意義

生き残りを賭けた両利き経営への転換

著者名:
内山 悟志
デジタル時代の情報システム子会社の存在意義のロゴ画像

デジタライゼーションの潮流の中で、IT部門と同様に、あるいはそれ以上にその存在意義が問われているのが情報システム子会社である。従来の業務を固持し、変革や転換を拒む情報システム子会社は、いずれ縮小・売却・解体などの道をたどることになる。情報システム子会社の生き残りの道は、デジタルシフトであり、その実現には「両利きの経営」が鍵となる。

改めて問われる情報システム子会社の存在意義

IT部門と同様に、企業のIT戦略を支える組織として情報システム子会社の存在を無視することはできない。今、クラウドが浸透し、新たなデジタル技術による革新が進むなか、IT部門の組織ミッションや役割が見直されつつあるが、それと同様に、あるいはそれ以上に情報システム子会社の役割や存在意義が問われている。このような議論は、長年何度も繰り返されてきたが、今回こそ正念場となるかもしれない。なぜなら、これまで主に情報システム子会社が担ってきた業務がなくなる、または大幅に縮小される可能性があるからだ。

これまで多くの情報システム子会社は、親会社またはグループ企業のITインフラ、共通系業務システム(電子メール、グループウェアなど)、コーポレート系業務システム(財務会計、人事、購買管理など)といった、主に社内システムの開発・運用の実務部分を担ってきた。特に、外販比率がゼロまたは非常に低い、いわゆる機能子会社はその傾向が強い。一方、こうしたバックオフィス系ではなく、事業系システムやマーケティング分野など、本業となる事業に直結するビジネスITと呼ばれる領域は、事業部やグループ会社固有の要件が多いことから、十分にサポートしてこなかった情報システム子会社が多いのではないだろうか。

さて、主な守備範囲としてきたITインフラや共通性の高い社内システムは、競争優位の源泉ではなく、事業上の差別化要因となるわけでもない。ここで利用される技術はコモディティ化が進み、クラウドシフトが最も顕著な領域といえる。システム運用の領域においては、自動化技術が進展し、高度なパフォーマンスのチューニングなどにおいてもAs a Service型の提供形態が普及することから省人化・無人化が指向されている。そもそも、こうしたシステムの全てがクラウド上に展開されるようになれば、水道や電力のようにユーティリティ・サービスを利用する形態となり、運用業務が外部化されることも考えられる。

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