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ITR Review

コンテンツ番号:
R-219021
発刊日:
2019年2月1日

Mobility as a Serviceの動向

CASEが自動車産業に及ぼす影響とその本質

著者名:
金谷 敏尊
Mobility as a Serviceの動向のロゴ画像

MaaS(Mobility as a Service)と呼ばれる新たなサービス形態が世界的に普及しつつある。自動車、IT、および関連業界に属する企業は、モビリティサービスの加速度的な進展を見据えて、既存ビジネスの変革と新たなビジネス機会について検討しなければならない。

自動車業界におけるCASEの功罪

昨今において自動車業界の最も重要なキーワードは、「CASE」である。これは、2016年に独ダイムラー社CEOのディーター・ツェッチェ氏が発表した造語で、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング/サービス)、Electric(電動化)の自動車産業を取り巻く4つのトレンドを並べたものだ。コネクテッドとは、インターネットに常時接続する自動車を指す。今もカーナビへの地図データのダウンロードや緊急通報システムなどの用途で通信機能を備えている車は少なくないが、今後は、5Gネットワークやセンシング技術の適用により、自動運転支援、車載機器のソフトウェア最新化、インフォテインメントなどモバイル情報端末としての機能が飛躍的に拡大することとなる。

自動運転は、レーダー、LiDAR(光検出と測距)、カメラ、GPSなどの技術により周囲の環境をリアルタイムに認識することで、目的地に向かって自律的に走行する機能である。渋滞時の高速道路など、限定された条件のもとで全ての運転を行い、システムからの要請でドライバーの運転操作を必要とする「レベル3」の条件付き自動運転について、日本政府は2020年の実用化を目標に制度整備を進めており、数多くの実証実験が行われている。また、電気自動車(EV)は、内燃機関の代わりに車載電池などから電力を得て動力とする自動車である。すでに主要国の多くが、二酸化炭素などの大気汚染物質を排出しないゼロエミッションの実現へ向けて、2030年から2040年に内燃機関を搭載した車の新車販売を規制する方針を表明している。これらの自動車産業に関わる技術進展は、現状のエコシステムに大きく影響を及ぼす。例えば、EV化の流れは、これまで得意としてきた内燃機関の技術優位性を活かした製品戦略の見直しを迫っており、海外での販売台数が大きい日本の自動車メーカーやサプライヤーへのインパクトは大きい。

他方、それにも増して自動車業界に大きな議論を巻き起こしているのが、シェアリング/サービスである。それはどういう背景によるものだろうか。続けて、CASEの各々の相関関係や市場へ及ぼす影響について見てみる。

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