サーバレスの価値と活用アプローチ（前編）

サーバレスは従来のシステム開発手法とは異なることはもちろんのこと、PaaS開発とも考え方が大きく異なる新しいシステム開発パラダイムであるが、ビジネススピードやイノベーションを重視する企業には最適な手法のひとつである。これらの企業は、過去の成功体験や現行のスキルセットにこだわらず、ゼロベースでサーバレスを検討すべきである。

サーバレスの基礎知識

サーバレス・コンピューティングに対する注目度が高まりつつある。利用者がシステムを開発するうえで、サーバを意識したり運用したりする必要がないという意味で名付けられたこの新しいコンピューティング・パラダイムには、現時点では次の2つのパターンがある。

ひとつは、BaaS（Backend as a Service）である。これは、アプリケーション開発を行うためのサブセット（データベース／連携ミドルウェア／認証ミドルウェアなど）をひとまとめにしたものを外部APIから呼び出して即時利用可能にするサービスである。利用者が意識することなしにスケールが伸縮し、フルマネージド・サービスであるため、利用者からはサーバレスに見える。

もうひとつのパターンは、外部のイベントで駆動される関数（Function）を利用してアプリケーションを開発／管理する。これも、ユーザーが意識することなくスケールが伸縮し、フルマネージド・サービスであるためサーバレスに見える。このパターンをFaaS（Function as a Service）と呼ぶ。