恒常的な人手不足に加え、デジタルトランスフォーメーションを担う人材難などが要因となって、BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)は今後も成長すると見られている。しかし、少なくとも従来型の請負的なBPOやオフショア型BPOは大きく様変わりしていく可能性が高いことを、企業は理解しておく必要がある。
企業のBPOに対する現状の投資動向
労働人口が頭打ちになるなか、多くの企業が人手不足に悩まされており、定年後の再雇用だけでなく、「出戻り社員」「ブーメラン社員」とも呼ばれる退職者の再雇用を積極的に推進する企業が増えてきている。その目的は即戦力の獲得であり、教育の必要がない、人物像が把握できている、他社経験によるスキルが期待できるといったことなどから、定常的な雇用制度に組み込む企業も増えつつある。こうしたなか、BPOに対する企業の投資意欲は、どのように変化しているのだろうか。その動向を、ITRが毎年調査しているIT投資動向調査から確認してみよう。
出典:ITR「IT投資動向調査2018」
BPOはセキュリティ/サービス分野に含めて調査を行っており、結果は図1に示される。縦軸は、導入企業における次年度の投資額の増減傾向を指数化したものであり、横軸は、次年度において新規で導入する企業の割合をパーセンテージで示したものである。セキュリティ/サービス分野は、全体として、各項目とも新規導入可能性が前年調査結果より高くなっているが、BPOは、ITアウトソーシングやオフショア・アウトソーシングより、新規導入可能性および投資増減指数のいずれにおいてもやや高い意欲が見られる。BPOは、施策としての新規性がないにも関わらず、企業の注目度や重要性の認識は高いといってもよいだろう。コスト削減に対する不断のニーズに加えて、有用な即戦力人材の獲得に向けた企業の意向が反映された結果ではないだろうか。