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ITR Review

コンテンツ番号:
R-217074
発刊日:
2017年7月1日

サービスビジネスの成長の条件

サブスクリプションサービスの要点

著者名:
金谷 敏尊
サービスビジネスの成長の条件のロゴ画像

サービスビジネスを推進するうえでは、在来のモノ売りと根本的に異なるビジネス手法やアプローチを意識し、そのためのプロセスやシステムを備えなければならない。本稿では、サブスクリプションサービスを中心に、サービスビジネスの成長のために必要な考え方とポイントについて述べる。

サービスビジネスの特性

今日の経済環境において、既存ビジネスのサービスビジネスへの転換、あるいはデジタルサービスを主体とした新ビジネスの市場参入を検討することは有意義な取り組みである(ITR Review 2017年6月号「サービス化へシフトする経済」#R-217072)。とりわけ昨今では、サブスクリプションエコノミーと称されるように、急速に普及するさまざまなサブスクリプションサービスが社会・経済へ与える影響は小さくない。そうした中、サービスビジネスで成功する企業の幹部が口をそろえるのは、「成長スピード」の速さにつきる。一例をあげると、企業向けにSaaSを展開するServiceNow社での2017年第1四半期におけるサブスクリプション事業の伸び率は、前年同期比で44%にのぼる。

なぜ、そのような著しい成長スピードを実現できるのだろうか。これには、多くのサービスビジネスが、ストックビジネスである点が関わってくる。ストックビジネスにおいては、初期投資の回収時点である損益分岐点を超えれば、売上げに占める製造原価の比率が著しく減少する。これは、極端な言い方をすれば、新規顧客の獲得やアップセルでの増加売上分は、その多くが利益になることを意味する。サービス市場で成功すると目されるプロバイダーは、この損益分岐点を超えて高い利益率を確保している、あるいは、超えた後に利益体質に変化することを訴求することで、効率的に資本を集めている。そのようにして産み出した利益や資本を投資することで、継続的に業績を拡大するという好循環を生み出しているのである。

しかしながら、このような成功企業はほんの一握りといってよい。サービスビジネスの推進においては、これまでと根本的に違う考え方が求められるため、失敗例も数多い。モノ売りのビジネスを考えてみよう。産業機器であれ、ソフトウェア製品であれ、これまで顧客に製品を販売することで対価を得ていたビジネスの名称を、”As a Service”に変更すればうまくいくというものでは決してない。モノ売りビジネスとサービスビジネスでは、とるべきビジネスの手法やアプローチはまったく別物であることを認識する必要がある。マーケティング手法、収益認識の基準、顧客との関係性、管理すべきプロセスなどだけではなく、それらを支える計画化やマネジメントのためのシステムも異なる。サービスビジネスの成長を見込むうえでは、モノづくりの成功体験を捨てて、価値づくりに焦点を当てるべくマインドシフトを行うことを前提に置かなければならない。

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