デジタル化の潮流はビジネスの最前線に押し寄せており、店舗やコールセンターなどのリアルな顧客接点にも大きな変革が見込まれている。企業は顧客接点の高度化のステージに照らして自社の課題とありたい姿とその目的を明確にし、段階的なステージアップを目指すことが求められる。
顧客接点の高度化とは
デジタル技術を活用したビジネス革新やデジタルビジネスの創出はあらゆる業界で重要事項となっているが、ITRではデジタルビジネスの企画・構想化にあたっては、IoTやAIといったテクノロジの視点だけでなく、業種ごとの事業課題に基づくテーマ設定が重要であると提言している(ITR Review 2017年2月号「業種別にみるデジタルビジネス戦略」#R-217022)。またその中で、顧客関係のデジタル化に属する業種横断的な戦略テーマとして「顧客接点・コールセンターの自動化およびバーチャル・エージェント」をあげている。
昨今、店頭での接客においてモバイル機器を活用したり、問い合わせ対応でAIやチャットボットを活用したりする事例が出てきている。顧客接点の高度化は、リアル店舗を持つ小売業だけでなく、金融業やサービス業の営業店、公共サービスの窓口、製造業におけるフィールドサービス、各種のコンタクトセンターなど幅広い業種に共通するテーマといえる。
デジタル技術を活用した顧客接点の高度化とは、「店頭やコールセンターなど物理的な顧客との接点において、デジタル技術やデータを活用することでインタラクション(対応)の質・機動性・顧客体験を向上させること」と定義する。ここでは、デジタル・マーケティングやオムニチャネル戦略と区別するために、ネット上だけのインタラクションの改善は含まず、主にリアルな顧客とのインタラクションにデジタル技術を活用するものとしている。
活用されるデジタル技術は多岐にわたり、店舗・コールセンター側では、タブレットなどのスマートデバイス、デジタルサイネージ、センサー、AR/VR、音声認識、自然言語処理、画像・映像認識、データ分析、人工知能、ロボティスクなどが考えられる。また、顧客側ではスマートフォン、ウェアラブルデバイス、ビーコン、ICタグなどがあげられる。
ITRでは、デジタル技術を活用した顧客接点の高度化を3つのステージに、そして具体的な施策のパターンを7つに分類している(図1)。
出典:ITR