IoT(Internet of Things)の台頭により、多様なデバイスがインターネットに接続されることで、これまで把握することが難しかったさまざまな情報をデジタルデータとして収集・活用することの重要性が増している。多くの企業は、さまざまなデバイスから出力される膨大なデータをマーケティングに活用するうえで、デジタルマーケティングへの取り組みが課題となっている。デジタルマーケティングとは、広義にはデジタルメディアを使った、製品やサービスあるいはブランドのプロモーションに代表されるマーケティング活動全般を指す。ITRではより高度なマーケティング手法に範囲を絞り、「デジタル化されたプロセスとデータを活用し、実証に基づいた判断を行うことによって、マーケティング施策全体を最適化する仕組みや方法」と定義している。
イベントドリブン型システムの注目が高まっているのは、IoTデバイスが出力するデータが起点となるイベントが急速に増えているためである。スマートフォンなどのGPSから発信される位置情報を利用して、店舗から一定の距離内に侵入すると、その店舗からセール情報やお薦め商品をプッシュ通知するO2O(Online to Offline)の取り組みは有名である。この他、Apple WatchやGoogle Glassといったウェアラブルデバイスが扱う生体情報をイベントとして扱うプログラムも急速に増えてくることが予想される。例えば、運転中に体調が悪くなるとデバイスが異変を検知し、車が自動で路肩に止まったり、自動的に駐車したりするシステムを自動車部品大手のアイシン精機が開発中である。